クリントン氏もびっくり!「たのしみ」を集めた江戸短歌

朝顔

朝起きたときに、小さな花が咲いている喜び――最近感じていますか?

つまらない毎日、変わり映えのない日常に飽き飽きしていませんか? 毎日がそんな印象であるなら、あなた自身のものの見方が、「つまらないもの」に傾いてしまっているのかもしれません。

そんな方にお勧めしたいのが、江戸時代末期の歌人、橘曙覧(たちばなのあけみ)の和歌集『独楽吟』(どくらくぎん)です。ここに収められた和歌は、すべて「たのしみは~」から始まるとてもユニークな歌集なのです。

「橘曙覧? 誰その人」と思う方がほとんどだと思いますが、日本人すらほとんど耳にすることないこの歌人を有名にしたのは、1994年に米国を訪問した、天皇皇后両陛下の歓迎式典でのクリントン元大統領のスピーチです。式典の折、クリントン氏は「たのしみは 朝おきいでて 昨日まで 無かりし花の 咲ける見る時」という『独楽吟』の一首を引用し、何気ない日常の小さな変化をいつくしむ日本人の心に賛辞を送りました。

日常は「小さな楽しみ」で満ちている!

『独楽吟』には、誰の人生でも経験するようなありふれた体験が、温かさとおかしみを持って語られています。たとえば、こんな歌があります。

たのしみは 木の芽にやして 大きなる 饅頭を一つ ほほばりしとき
たのしみは いやなる人の 来たりしが 長くもをらで かへりけるとき
たのしみは 昼寝目ざむる 枕べに ことことと湯の 煮えてある時
たのしみは ふと見てほしく おもふ物 辛くはかりて 手に入れしとき

お茶を飲みながら饅頭を頬ばる瞬間、苦手な人が長居をせずに帰ってくれた瞬間、うたた寝から目覚めて、ストーブの上の湯がふつふつと沸く音を聞く瞬間、どうしても欲しい物をやっとゲットできた瞬間――そんなときには、誰だってほっこりとした喜びを感じるものです。

そんな日常の小さな喜びを数え上げれば、私たちは結構たくさんの幸せに囲まれて生きていることに、気づくことができます。そんな幸せを感じるものの見方について、さらに次のページで考えてみましょう。