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笠井叡『今晩は荒れ模様』インタビュー!(4ページ目)

日本舞踏界の重鎮・笠井叡さんが、この春待望の最新作『今晩は荒れ模様』を発表! キャストには、上村なおか、黒田育世、白河直子、寺田みさこ、森下真樹、山田せつ子と、6名の女性ダンサーがズラリ集結。個性もジャンルも違える彼女たちと、笠井さんの異色のタッグに注目が集まります。ここでは、創作にあたる笠井さんにインタビュー。作品の経緯とそこに寄せる想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

バレエガイド

個性もジャンルも違う6人のダンサーをひとつの作品に集約する上で、大変だなと思う部分、生みの苦しみを感じる瞬間はありますか?

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(C) TOKIKO FURUTA

笠井>ひとりひとりに振付けているときは、関係性をつくっているだけなので、生みの苦しみというのはないんです。公演のためだと思うと“あと何日しかない”ってなるけれど、振付関係で一緒にいられる時間を共有しているだけ。ただ楽しくやっているだけで、大変なことはないですね。それを6人の方たちと持てた。この一年はいい時間だったなと思います。

ただランスルーになると、6人の中からもうひとつ何かが浮かび上がってこなければいけない。単に6人を並べただけではなく、6人全体でもうひとつ何かつくり上げるものがなきゃいけない。どうやったら出るのかなと
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(C) TOKIKO FURUTA

考えたりするし、そこはやはり生みの苦しみです。ひとりひとりと関係性を築いていても、それがひとつに集まったときに、想像しない何かが出て欲しい。だからランスルーが一番大事ですね。

努力はできるけど、そこで何かが生まれるか生まれないかというのはちょっと私の力では及ばないところ、偶然のような部分があって。例えば女性が子供を産むときに、男の子か女の子か決められないのと同じ。芸術作品ってみんなそうですよね。決められないし、何が出てくるかわからない。私はどんな作品でもランスルーを重ねる方で、今回は7回通す予定。ひとりひとりの踊りは出来上がっていても、全体になるとどうなのかなと。ランスルーが一番大事な生みの瞬間なので、一番難しいし、悩んでしまうところです。

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(C) TOKIKO FURUTA



一番喜びを感じるのはどの瞬間ですか?

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(C) TOKIKO FURUTA

笠井>つくっている瞬間は純粋に楽しいですね。舞台のためというのではなく、その一回一回がすごく楽しい。ただやっぱり舞台というのは格別な場所で、観客がいる。観客がいる場と創作の場では全然違います。ランスルーでも出切らない部分が本番にはあるし、観客という存在に支えられることが圧倒的に多いんです。何百人という公衆の前で身体を晒すというのは、やはり違うものがある。

プールでいえば、水がないと泳げないのと同じ。泳ぐ真似はできるけど、水があって初めて本当に泳げる。観客というのはプールでいう水であって、観客がいない振付の過程は水があるようでないようなもの。観客というのは本当に凄くて、そこでダンサーから出てくるエネルギーもまた違う。ただこれは、事前に練習ができないんですよね。

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(C) TOKIKO FURUTA

観客という水の中で泳ぎ切っても、その結果はダンサーにはわかるようでいて実はわからないんです。自分では泳ぎ切ったと思っていても、観客には響いていない場合もあるし、ああ今日はダメだったと落ち込んでるときに限って、観客にとってはすごく良かったということもある。

どこで観客とダンサーが結び付いているかというのは、わかるようでわからない。観客が見てるところって、ちょっと違うんです。苦し紛れで出るものの方が、観客には受け取れることもある。逆にダンサーが苦しんでいて、そこから解放された喜びにいこうとすると、それはあなたの事情でしょ、となることが結構あって……。そこは難しいところです。


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(C) TOKIKO FURUTA



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