不安定で傷つきやすい「中二病」の子どもたち

中学生たち

素直だった子が中学に入った途端、生意気で反抗的に。これって「中二病」?

小学生までは「素直ないい子」だったのに、中学に入ったら親の言うことをまったく聞かなくなった。大人ぶって生意気なことばかりを言う――。思春期の子を持つ親は、子どものこうした変化に戸惑ってしまうものです。

思春期によく見られる背伸びした態度、世の中を斜に眺めて批評するような態度、仲間内での評価を過剰に気にするような態度は、最近では「中二病」などと呼ばれています。もちろん病名ではなく、インターネットを中心に流行している俗語です。

中二病に“かかった”子どもをいくら注意しても、まず聞く耳を持ってもらえません。そうした生意気な態度に苛立ち、親は怒りを小言の一つも言いたくなってしまうかもしれません。しかし、口うるさく干渉しても、疎ましく思われるだけで逆効果です。そこで、「中二病」的な行動がこの時期の子になぜ生じるのか、まずは思春期の子どもの心を紐解いてみましょう。

自意識が過剰になる「中二病」世代

思春期に特徴的なのは、自意識が過剰になることです。「自分とはどんな存在か」と考えるようになると、同時に「自分は他者からどう見られているのか」も気にするようになるのです。

もっと幼い頃の子どもの心は、自己中心的です。他者の視点から自分を捉えたり、相手の立場に立つような物の見方がまだ十分に発達しておらず、自分を中心に物事を考えることしかできないのです。「前思春期」と呼ばれる小学生高学年頃から、自意識が発達してくると、物事を相対的に捉えたり、社会と自分との位置関係を捉えることもできるようになり、他者からの見られ方を強く気にするようになります。

さらに、中学生からの思春期は親に庇護される生き方から卒業し、社会のなかでのサバイバルを模索し始める時期です。そのため、思春期の子どもたちは自分と対等な関係である「同世代からの評価」をとても意識するようになるのです。

「仲間社会」に揉まれながら自己を模索する

大人から見れば、中学時代の「同世代からの評価」など、たわいないものに思えるかもしれません。しかし、今まさに社会のなかで生きる自己の礎を築こうとする子にとって、同世代の仲間に自分がどう見られ、評価されているのかは、死活問題です。この課題に本人たちは真剣に悩み、取り組みます。たとえば、「LINEでの即レス」や「スクールカーストの位置づけ」などを過剰に気にするのも、このためです。

こうした「仲間社会」で自信を持ちにくい子のなかには、他の子が追随できないニッチな趣味に埋没し、自分を癒そうとする子もいます。ところが、その趣味がニッチで極端すぎると、周囲からの承認の獲得はさらに難しくなるため、鬱屈と孤独感はますます肥大化しがちです。

このように、仲間社会に適応しすぎて疲れていく子、適応できない孤独感から極端な行動に傾倒していく子など、中二病の“症状”はさまざまです。いずれにしろ、外での生活でエネルギーを消耗しているため、家ではむっつり黙って部屋にこもったり、イライラして反発したりと、親は扱いにくさを感じるものです。

しかし、これも「大人としての自分」を形作るための通過点です。思春期にこうした葛藤に振り回されても、高校に入る頃には、「人はそれぞれ自分にあった人生を生きていけばよい」ということに気づいていきます。そして自分の個性を見つめながら、「自分らしい生き方とは何か」というアイデンティティに目覚めます。この目覚めこそが、いよいよ成人としての自己形成の具体的なスタート地点になるのです。

では、不安定な「中二病」の時期、親ができることは何でしょう? 次のページで考えてみましょう。