試験前の徹夜や、試験本番当日での「悪あがき」は禁物
最後のあがき、1点が合否をわける
よっぽど簡単な試験ならいざしらず、大学入試にしろ資格試験にしろ、「もう完璧!」というまで問題集やテキストを覚えて試験に臨める人はほんとわずか。試験本番当日になって、まだ覚えていないところが気になって焦る人も多いのではないでしょうか?
合格・不合格を分けるラインには多くの受験生がひしめきあいます。ほんの数点、そして1点が天国と地獄をわけることもあります。試験が開始する直前まであがきたくなるのは当たり前です。
ただ、あがくにしても悪あがきになると、プラスになるどころか、せっかく覚えていた知識まで混乱させたり、精神的にパニックとなってマイナスになりかねません。
あがくにしても、良いあがき方と悪いあがき方があります。せっかくなら良いあがき方でいきたいですよね?
今回は試験本番当日の良いあがき方と悪いあがき方を分けるポイント、そして、最後の最後で大事な知識を記憶するための「10分漬け記憶術」を解説します。
正しくあがくためにはここから始める
試験会場ではよくこんな人を見かけます。ほとんど書き込みもないきれいな問題集やテキストを、ひたすら順番にページをめくって目を走らせている……。試験官が「カバンのなかに片づけてください」と言ったあとも、名残惜しそうにめくっている。
これは悪いあがき方です。
「まだ覚えていない……」と焦る気持ちはわかるのですが、ただ闇雲に情報を確認し、入れようとしても、逆に整理されないまま混乱してしまう危険があります。
正しくあがくためには、まず、自分が何を覚えていないのかを明確にしてから、テキストにしろ問題集にしろ見ることです。
そのための行動が「思い出す」。
つまり、すぐにテキストや問題集を見るのではなく、自分が何を覚えているのかを思い出してみるのです。そうすると、自分が何を覚えているのか、覚えていないのかが明確になります。
もちろん、その途中で「ああ、覚えていない……」と焦り始めて、とにかくテキストや問題集を見たくなりますが、何を覚えていないかを明確にしないと、先ほど挙げたようにただ情報を入れようとするだけで整理がつかず危険です。
「思い出す」ことであれば、試験会場で席につくまでに、家を出て歩いているときや、電車に乗っている間でもできます。まず、この「思い出す」という下準備をしておいて、試験会場で気になった点を問題集やテキストを開いて具体的に確認していけばいいのです。
そのときは、ただ順番にページをめくるのではなく、どこを読むかが明確になって、必要な箇所だけを読んでいる形になっているでしょう。
ただ、「ここを覚えていない……」と確認しても、なかなか覚えられない、頭に入らないこともありますよね。そのときにはどうすればいいのか?
試験会場をカンニングペーパーに
試験会場は絶好の記憶の場
試験に出るような内容を小さい字で書いて、密かに持っておく紙のことですが、これを試験直前に、試験会場で作ってしまうのです。
「え? カンニングスレスレ? というより、もろカンニングじゃないですか?」と思われたかもしれませんが、ご安心ください。実際の紙に書くのではありません。
あなたが試験を受ける「試験会場そのものに書く」、正確にいうと覚えておきたい知識をイメージにして、試験会場にあるモノに結びつけていくのです。
試験会場には掛け時計や黒板、掲示板、戸、窓などなどいろいろなモノがありますよね。ここに覚えたい知識をイメージに変えて結びつけていくわけです。
たとえば、世界史でさまざまな国の首都を忘れていることに気づいたとしましょう。その場合、たとえば……
■「(中国の)北宋の首都は開封っていうのか……」というとき、掛け時計のところにお坊さん(僧=宋)を思い浮かべ、そのお坊さんがどでかい封筒を開いている(開封)ところをイメージ
■「(イスラム王朝の)ウマイヤ朝の首都はダマスカスか……」であれば、黒板の前になぜか馬(ウマイヤ朝)がいるところを思い浮かべ、その背にいかにも悪そうな男たちが電話を片手に「オレオレ」と連呼している(オレオレ詐欺=だます=ダマスカス)とイメージ
このように、試験会場を見回せば、必要な知識がすぐに思い出せるようにするのです。
これは「空間記憶術」や「場所法」と呼ばれる記憶術を応用したものです。詳しくは以下の過去の記事もご参照ください。
⇒ 記憶術基本講座1——イメージ記憶術
⇒ 記憶術基本講座2——空間記憶術
試験会場という場と記憶術を活用すれば、焦らなくても「これは!」という知識は記憶できてしますのです。
「思い出す」チェックはお早めに!
試験はとてもシビアです。解答用紙に書いたことですべてが決まってしまいます。そこに少しでもあなたが勉強してきたことを書けるように、諦めないで、試験開始の最後まであがけるだけあがいていきましょう。ただし、試験当日、試験会場で覚えられるのはほんの少しです。それまでにしっかりと勉強しておくのは言うまでもありません。
その際に10分漬け記憶術でも重要だった「思い出す」がカギとなります。
できるだけ早い段階で「思い出す」を行って、自分が覚えていること、覚えていないことを明確にすることで、もっと余裕をもって取り組むことが可能になります。
とはいえ、頭に知識を入れることばかりに焦点が当たり、「思い出す」ことは後回しになりがちです。なぜなら、思い出すことは自分の現状と直面する痛い体験だからです。
しかし、何よりも痛いのは試験本番になって初めて、自分の期待と実際のギャップに気づくこと。そして不合格になることです。
痛い思いを先送りせずに、「思い出す」を早め早めに行って、試験本番当日はもっとラクに余裕をもって臨めるようにしましょう。
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