
脳は無数の「結びつき」からできている
「記憶」とは何か?
「で、すぐに大量に覚えられる記憶術は何ですか? 早く教えてください!」そう思われるかもしれませんが、「急がば回れ」、まずはそもそも「記憶」とは何か?について押さえておきましょう。
「記憶」とは、一言で言うと「結びつき」。
これは記憶の本質なので、しっかり記憶しておきましょう。どんな記憶術でもこれが土台となります。
記憶というと、頭の中に「入れる」、さらにいうと「押し込む」というイメージを持っている人がいるかもしれませんが、そうではないのです。
なぜ記憶は「結びつき」か?というと、記憶を行っている「脳」の構造がそうなっているから。
記憶を行う大脳皮質には約140億個の神経細胞があるとされていますが、それら一つ一つに千から万もの神経回路がぶらさがり、神経細胞同士を結びつけています。
脳にはまさに桁違いの「結びつき」があり、記憶はこの「結びつき」によって行われるのです。
記憶する・忘れないための大原則
このため、記憶する、忘れないようにするには、この「結びつき」を作り、維持する、さらには強くすればいいわけです。「結びつき」ですから、新しい情報・知識は、すでにある記憶と結びつける、つまり関連付けることが必須となります。
ただ、いったん結びついたとしても、最初はその結びつきは弱く、だんだんと切れていくようになっています。
ずっと結びついたままでいてほしい、と思うかもしれませんが、それでは重要なものも重要でないものも同じように記憶されてしまって収拾がつかなくなります。このため、脳は放っておけば結びつきが弱くなり、忘れる、思い出せないようになっているのです。
では、どうすれば結びつきを保ち、さらに強化できるのか? いくら、「これは重要だから、結びついていてくれ!」と脳に言い聞かせても、脳には伝わりません。どうやって、これを伝えればいいかというと、それは……
「くり返し」です。
「そんなことは知っているよ。だから、くり返さないでも記憶できる、忘れない“記憶術”を求めているんです!」と言われるかもしれません。ただ、やはりこれがなんといっても記憶するため、忘れないための土台となります。
「何度もくり返し起こる、体験することは重要」という極めて合理的な仮定に基づいて、われわれの脳に組み込まれているメカニズムなので、なくなることはないでしょうし、くり返しさえすれば脳は確実に記憶し、忘れないでいてくれます。
まずは、この記憶の大原則・「くり返し」を受け入れて、どうすれば楽にくり返せるか? 効果的なくり返しとは何か?を考えて、くり返しをしていきましょう。
なお、くり返す際のポイントを一つお伝えすると、ただ読むことをくり返すのではなく、思い出すことをくり返すことが効果的です。思い出せなければ記憶したとはいえないからです。
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