ガーデニング・園芸/ガーデニングのテクニック

多肉ボールの作り方! インパクトと可愛いのコラボ

今回は、多肉ボールの作り方をご紹介します!「多肉ボール」って、ご存じですか? 多肉ボールとは様々な種類の多肉植物を使って、まんまるなハンギングを作りあげるものですが、いまガーデナーの間で話題になっている多肉の新しい楽しみ方です。

畠山 潤子

執筆者:畠山 潤子

ガーデニングガイド

多肉ボールの作り方

多肉ボールの作り方

多肉ボールの作り方

多肉植物についてはこれまでにも何度かガイド記事でご紹介してきたので、すでに楽しんでおられる方も多いと思いますが、今回ご紹介するのはいまガーデナーの間で人気沸騰中の「多肉ボール」です!
多肉ボールの見本作品

デモンストレーション用の見本作品

業界向けイベントでは黒山の人だかりができたという多肉ボールの作り方を教えてくださったのは、ガーデニング講師であり球根や多肉植物などをネット販売する「球根屋さん.com」と(株)河野自然園の代表取締役でもある井上まゆ美さんです。井上さんは、各地で開催されるハンギングバスケットコンテストで多数の受賞者を輩出していることでも著名な方で、この多肉ボールにもハンギングバスケットの技術が巧みに織り込まれています。
制作はビギナーの方には少し難易度が高めかもしれませんが、多肉植物の魅力を思う存分楽しめる多肉ボール、ぜひチャレンジしてみてください!
   

多肉ボールの材料

それではまず、多肉ボールを制作する材料を揃えましょう。
  • スリット鉢3~4号(今回は、3.5号鉢を使用)
  • ネルソル(次項で解説。1リットル袋2分の1程度)
  • 水苔(あらかじめ水を含ませ絞ったもの、こぶし大程度)
  • ワイヤー(太さ1mm長さ50cmくらいを3本、40cmくらいを1本)
  • ピンセット
  • 台にする鉢(4~5号で高さのあるものが作りやすい)
  • 工作ハサミ、キリ、マジック(白が見やすい)
多肉ボールの材料

多肉ボールの材料

そしてお好みの多肉植物ですが、葉が大ぶりのもの、つぶつぶのもの、枝垂れるものなどを取り混ぜて準備しましょう。今回は3.5号鉢の講習会用にセレクトしていただいたものでカランコエ(白銀の舞)、秀麗、黄麗、名月、春萌、ブロンズ姫、虹の玉などの挿し穂を25~30個、またドラゴンズブラッド、ベビーサンローズ、アカプルコゴールド、グリーンネックレスはポット苗からカットしたり根を崩して分割して使用しました。使用する鉢が大きければ、その分多肉の数も必要になります。
 

事前準備

1.ネルソルの準備
ネルソルとは、水を加えて練ったあと(ネル)乾くと固まるよう調整された特殊な土(ソイル)のことです。ネルソルと水を10:4の割り合いで混ぜ、パン生地をこねる感じでよく練っておきます。はじめはパラパラしますが、こね続けていると次第に粘り気が出てきます。土の塊を引っ張ってみて、納豆のように糸を引くようになれば、ネルソルの準備完了です!
  2.スリット鉢の工作
今回使用するスリット鉢は、根張りをよくするための切れ込みが入った柔らかめのプラスチック鉢です。園芸用品を扱っているホームセンターで、4号サイズが1個5~60円程度で販売されています。
 

この鉢に、多肉植物を入れるためのスリットを6箇所作ります。鉢底に元からあるスリットを避けるようにして、マジックで下書きをしてハサミで切り取ります。スリットの幅は、挿し穂のみで作る場合は5~6mm程度、根付きの多肉が多い場合は1cm程度にします。さらに、鉢の上部に均等になるように、吊り手を着けるための穴をキリで三箇所開けます。

スリット鉢を加工

スリット鉢を多肉ボール用に加工します

できあがってみたらこの形、ラウンド型のハンギングバスケット器材に似ていますね!なるほど、よく考えられています。
 

多肉の植え込み

さきほど準備したスリット鉢を台(伏せた鉢)の上に載せ、底の部分に水を含ませて絞った水苔を敷きます。鉢に入れる多肉植物は、材料でご覧いただいたように根付きのものでも、挿し穂状態でもOKです。分けられるものは分割、長いものはカットして使うなど、ある材料を有効に使いましょう。
ネルソルと水苔

ネルソルで壁を作り、中央には水苔を

事前準備で作ったスリットに下から順に多肉を入れていきますが、スリット鉢が隠れるように、一番下にはグリーンネックレスのような枝垂れる多肉を入れます。多肉の配置は、同じものが隣同士にならないよう一つ置きにしたり、似たような葉が横並びして帯状にならないように、といった点にも注意しましょう。

根付きの多肉はポットから出して土をほぐして小分けにし、根をまとめてネルソルでくるんでスリットに入れていきますが、ハンギングバスケットを作ったことのない方にはちょっとイメージしにくいかもしれませんね。スリットへの植物の入れ方は、ガイド記事【ハンギングバスケットを楽しむ】をご参照下さい。なお挿し穂状のものも、鉢の中に入る茎の部分をネルソルでくるんで入れていきます。
  • ここでポイント!
    グリーンネックレスなど枝垂れる多肉、小分けにできる多肉などは仕上げでも使います。全部使ってしまわないよう、必ず残しておきましょう!また植え込みの際に取り除いた下葉や、ポロポロ落ちてしまった葉は、捨ててしまわずに取っておきましょう。土の上に放置しておくだけで、また子苗ができますよ!

さて、多肉ボールというからには、きれいな球形に仕上げたいものですね。そのために下と上の方は小さめの多肉、中央は大きめの多肉というふうに、まあるくなるようバランスを見ながら次々とネルソルを巻いた多肉をスリットに入れていきます。この時、ネルソルが鉢の内側面にくっついて壁になるようにします。中央部分にできた空間には絞った水苔を入れます。
講習会での制作風景

講習会での制作風景。

上の画像は講習会での様子ですが、この時点ではまだ鉢が見えていますね。それに、まだボール状ではありません。でも、この後の仕上げで見事に変身していきますよ!

上の画像くらいまで多肉が入ったら、鉢縁のひっかかりのある部分の下に短いワイヤーをグルッと巻いて捻って留めます。これは植えこみ作業で広がってしまった鉢の形を整えるためのワイヤーなので、ギュウギュウに締める必要はありません。余ったワイヤーは邪魔にならないように処理します。
また、事前準備で3箇所開けた穴に、それぞれ吊り手となるワイヤーを通しておきます。
準備したワイヤーを使って

準備したワイヤーを使って

鉢の天部には少し山になるように水苔を盛り、その上にネルソルを敷き詰めます。あまり盛りすぎると、その分多肉植物がたくさん必要になってしまうので、盛り過ぎ注意!ですよ。
この天部に多肉植物を植えこみ、最後にワイヤーを持ち手になるように3本まとめて捻り、フックを掛けるための輪を作ります。このとき、吊り下げるものに合わせてワイヤーの長さを調整しましょう。

ここから仕上げに入ります。鉢が見えてしまっているところを隠すように、残しておいたグリーンネックレスや小分けにした多肉を隙間にピンセットで押し込んで、丸く・丸くを意識して仕上げていきます。最後にはみ出した根や、飛び出している茎葉をカットして完成です!
多肉ボールの完成

隙間を塞ぐように多肉を挿して完成

ガイドの初めての多肉ボールは、撮影も含めて作業開始からおよそ2時間で完成しました。講習会の皆さんは、概ね1時間半ほどで完成させていましたよ。
 

多肉ボールの管理方法

多肉ボール

日射しを浴びる多肉ボール

多肉ボールに使用したネルソルは数日で固まりますが、それまでは頭が重い多肉などがポロポロと落ちてしまうことがあります。そんなときは慌てず騒がず、再度ピンセットで押し込んであげましょう。ネルソルが固まることに加え、やがて多肉自身も発根して自重を支えるので、落ちてくることはなくなります。

多肉植物は、頻繁に水やりしなくてOKなところも魅力。水やりは10日に一回程度、水を張ったバケツに丸ごとザブンとつけて、吸水させてあげれば完了です。
  • ここでポイント!
    作ったばかりの多肉ボールは、しばらく水やりの必要はありません。プクプクした葉っぱにちょっと皺が寄ってきたら、お水がほしいサインです。過湿は禁物ですよ!
また多肉植物は日光を好む性質なので、寒冷地などで屋内で管理する場合も、日当たりの良い場所に吊るしてあげましょう。日照不足などで徒長してしまったら適宜カットして、また挿し穂として多肉ボールに差し込んであげてもOKです。

いかがでしたか?制作はちょっと大変かもしれませんが、できあがった多肉ボールはまさに珠玉のよう。そのできばえに、自ずと頬も緩んできます。ガイドも完成作品をさっそく玄関脇に吊るしてみましたが、そこはかとなく薬玉の雰囲気がただようのも、またご愛嬌かと……。皆さんも、すてきな多肉ボールをぜひ作ってみてくださいね!

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