元祖ネットアイドル Yo
「Yoのけそうぶみ」と聞いて、懐かしいと思うかたは、かなりのオジサンです。1982年~1987年にかけて月刊アスキー(当時はマイクロコンピュータ総合誌ASCII)に連載されていたエッセイのタイトルが「Yoのけそうぶみ」。まだパソコンではなくマイコンと呼ばれていた頃で、プログラムを保存するのにフロッピーではなくカセットテープを使っていた時代。
月刊アスキーに、TBN(Tiny BASIC Newsletter)というコーナーがあり、最初は文字通りTiny BASIC(コンパクトなホビー用BASIC)に関する記事が掲載されていました。だんだんコラムやお便りコーナーが増え、息抜きページに変貌していきます。
TBNに「マイコン私情」という黒田百合香さんが書いていたエッセイがあったのですが、結婚してニュージランドに住むことになったことから、引き継いで始まったのが「Yoのけそうぶみ」。「けそうぶみ(懸想文)」とはラブレターのことで、今ではメールで告白したりしますが、大昔は相手を慕う和歌を紙に書き、花などを添えて渡すのが流儀でした、これが懸想文。
元祖ネットアイドルに男性はメロメロ
「Yoのけそうぶみ」を書いていたのが鷹野陽子さん(ペンネーム)。鷹野陽子さんは連載当時、理学部物理学科に通う大学生でした。「プログラムの課題が3つもあるので、パンチカードをかかえて電子計算機センターへ行った」とか「秋葉原のパーツショップへ行って、16ピンのソケット20コに、コンデンサーをごそっと買うなんて、スーパーマーケットで、人参2袋、ピーマン3袋と揃えるのと同じ感覚じゃないの」なんて文章が登場します。
ようやくマイコンがビジネスに使われだしましたが、まだまだホビーの段階でオタクの世界。オジサンばかりの古書市に若い女性がふらっと登場したようなものです。女の子がコンピュータをいじるなんて本当に珍しい時代に男性読者はイチコロ。エッセイはワープロのオアシスで書いていたそうです。
毎回、エッセイにはイラストが載っていて、Yoはメガネ姿でロングヘアをなびかせる、なかなか美人。写真が載らなかったので、男性読書はイラストを見て、こんな女性だろうと勝手に想像していました。今でいう「萌え」であり、鷹野陽子さんはネットアイドルの元祖。
このエッセイはかなり好評で、あとでエッセイだけを集めて単行本としても本が出ました。鷹野陽子さんが大学を卒業し連載は終了。その後、プログラマーに就職し結婚されたそうです。
2次元のアイドル冴子先生
以前、ワードやエクセルを使っていると、画面の端によくイルカがあらわれました。オフィスのアシスタント・キャラクターで、日本語で質問すれば適切なヘルプを検索して表示してくれました。このアシスタント・キャラクターは変更でき、その一つが冴子先生。冴子先生は日本限定のオフィス・アシスタントで、机に座り白いスカーフにオレンジのユニフォーム姿。
この冴子先生、当初作成したキャラクターはセクシーすぎて米本社で問題になり、作り直されました。イルカのカイル君は不評でしたが冴子先生は意外に人気がありエクセルで冴子先生と麻雀ができるフリーゲームまで登場しています。
次は「ネット接続するために必ず通る稟議書の書き方を教えます」です。