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青山バレエフェスティバル-Last Show-(2ページ目)

今年3月末に閉館が決まっている青山劇場。1986年より2000年まで15回開催された『青山バレエフェスティバル』は劇場を代表する舞踊公演のひとつであり、最終公演となる今回はゆかりのダンサー・振付家が集い復活します。ここでは、『青山バレエフェスティバル』に長年出演し、佐多達枝振付作『ソネット』を踊る高部尚子さん、足川欽也さん、坂本登喜彦さんの三名にインタビュー! 作品、そして劇場への想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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青山劇場のラスト公演で本作を踊ろうと考えたのは何故でしょう?

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リハーサルの様子。佐多先生と

坂本>まずこの三人でというお話があって、佐多先生もすごく好きな作品だと言うし、じゃあ『ソネット』を踊ろうと。けれど、足川さんにメールしたら既読スルー(笑)。

足川>冗談じゃない、どれだけ大変なのかわかってない、何言ってるんだという感じでしたね。だから、ふたりから来たメールにもしばらく返信せず(笑)。8年前にTHEATRE1010で再演したことがありますが、僕はもう体力的にムリだから若い方にということで、島田衣子さん、石井竜一さん、武石光嗣さんの三人に踊ってもらいました。また3年前にやった僕のリサイタルでも上演していて、そのときは志賀育恵さん、武石光嗣さん、後藤和雄さんが踊っています。僕も想い入れがあるし、いい作品だと思う。けれど、8年前の時点でもうムリだと判断してる訳だから、今の自分には絶対できないと思ったし、本当に無謀としか思えない。疾走できればいいけれど、初日に倒れたら二日目は出演できないかもしれない。だからこれをもう一回やると坂本さんが言ったとき、それはムリでしょうと……。

坂本>確かに、20年前に初演したこの作品を果たして今踊れるのだろうかという不安はありました。ただ20年前と同じようにはできないかもしれないけれど、どこまでも踊り続けていく、どこまでも舞踊にたずさわっていく、そういう気持ちがお客さんに伝わればと。体力の続く限り何かをみせるというよりも、僕たちが踊ることでこの先も何かが続いていくようにみえれば、という想いです。

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高部>青山劇場がなくなってしまうというのがまず頭にあって、この作品にしようという話になったとき、もしかしたらぴったりかもしれないと思ったんです。劇場はなくなってしまうけど、踊り手たちや音楽も含め、作品に込めた想いはずっと続いていく。物はなくなったりひとはいなくなったりするけれど、そういうことってずっと残っていくじゃないですか。肉体は衰えていくし、年はどんどん取っていく。でもその中で極限に動くことによって、何か見えてくるものがあったら一番ステキなんじゃないかと思っていて。おふたりも私も作品をつくったり、普段から教えや指導はしているけれど、やっぱり生徒たちに何か残したいですよね。そのためにも、自分たちの想いを込めて踊りたい。それが一番ですね。

坂本>今回のシチュエーションに、『ソネット』という作品が僕たちなりにすごくはまっているのを感じます。自分たちが踊れなくなっても、生徒たちが受け継いでいってくれればという気持ちが『ソネット』のテーマにも通じる。残念ながら劇場はなくなってしまうけど、青山劇場に若い頃育ててもらったという気持ちが僕たちの中にはあって、そこで育ててもらった魂はずっと続いていくと思うんです。

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