青山劇場のラスト公演で本作を踊ろうと考えたのは何故でしょう?
リハーサルの様子。佐多先生と
足川>冗談じゃない、どれだけ大変なのかわかってない、何言ってるんだという感じでしたね。だから、ふたりから来たメールにもしばらく返信せず(笑)。8年前にTHEATRE1010で再演したことがありますが、僕はもう体力的にムリだから若い方にということで、島田衣子さん、石井竜一さん、武石光嗣さんの三人に踊ってもらいました。また3年前にやった僕のリサイタルでも上演していて、そのときは志賀育恵さん、武石光嗣さん、後藤和雄さんが踊っています。僕も想い入れがあるし、いい作品だと思う。けれど、8年前の時点でもうムリだと判断してる訳だから、今の自分には絶対できないと思ったし、本当に無謀としか思えない。疾走できればいいけれど、初日に倒れたら二日目は出演できないかもしれない。だからこれをもう一回やると坂本さんが言ったとき、それはムリでしょうと……。
坂本>確かに、20年前に初演したこの作品を果たして今踊れるのだろうかという不安はありました。ただ20年前と同じようにはできないかもしれないけれど、どこまでも踊り続けていく、どこまでも舞踊にたずさわっていく、そういう気持ちがお客さんに伝わればと。体力の続く限り何かをみせるというよりも、僕たちが踊ることでこの先も何かが続いていくようにみえれば、という想いです。
坂本>今回のシチュエーションに、『ソネット』という作品が僕たちなりにすごくはまっているのを感じます。自分たちが踊れなくなっても、生徒たちが受け継いでいってくれればという気持ちが『ソネット』のテーマにも通じる。残念ながら劇場はなくなってしまうけど、青山劇場に若い頃育ててもらったという気持ちが僕たちの中にはあって、そこで育ててもらった魂はずっと続いていくと思うんです。