50万枚の前売券が即日完売
家族に人気の妖怪ウォッチの快進撃は続く
「妖怪ウォッチ」は封切りから2日間で興行収入16億円を達成していた。これは「千と千尋の神隠し」(2001年)を上回り、東宝史上最高のスタートだ。そして、この結果に至るまで映画「妖怪ウォッチ」にはさまざまな出来事があった。
まず2014年夏の前売券発売開始の段階で一騒動が起きた。先着50万人限定の特別メダル(映画にも登場するキャラクターのフユニャン)付き前売券を購入したい人が映画館に殺到した。当時はガシャポンのメダルも、玩具も、どの販売店に行っても見つけることが難しい時期。そこに限定メダル付映画前売券を発売することで、即日完売となった。実際、メダルが欲しい子どもが買えない一方、オークションでメダルが高値で取引されるという事態も起きた。そして、これによってバンダイはメダルや玩具の生産体制を強化するということになったのだ。
「妖怪ウォッチ」が大ヒットしたポイントは制作会社レベルファイブのクロスメディア戦略によるところが大きいが、映画化においても前売券段階から綿密な戦略が立てられていたのだ。
先着500万人への新たな限定メダル
先着50万枚のメダルをもらえなかった人達の中には、少なからず不満や批判の声もあった。こども向けの映画ならば、ネガティブなイメージは絶対に避けたいところ。このような状況の中、次に打ち出した戦略が「入場先着500万人への限定メダル」配布だ。このメダル(こちらも映画に登場するキャラクターのダークニャン)配布が決定したことによって、少しでも早く映画館に行きたいという子ども、その子どもを連れて行く親が増加。先着50万枚のメダルが終わっても前売券販売は伸び、最終的には116万枚の前売券販売となった。ちなみに「妖怪ウォッチ」と比較されることの多いアニメ「ポケットモンスター」の初映画「ミュウツーの逆襲」(1998年)の入場者総数が654万人であることを考えれば、先着500万人へのメダルが早々なくなることはない。ただ、それまでメダルを手に入れられなかった経験やニュースによって、「新たな限定メダル」を手に入れるためいち早く映画館に足を運ぼうという消費者心理が働いたのだ。
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