第1位 ブラッド・メルドー「ジ・アート・オブ・ザ・トリオVol.1」より「ブラックバード」(ザ・ビートルズ)
ザ・ビートルズといえば、今でもおそらくは世界一有名なロック・バンドでしょう。イギリスの田舎町リヴァプールから世界を席巻した彼らの活躍は、誰もが知るところ。
名曲の宝庫のオリジナルの中で、今回ジャズ・ピアニスト、ブラッド・メルドーが取り上げたのは「ブラックバード」。
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この曲は、ジャズでも取り上げられることが多く、有名なところではベーシスト、ジャコ・パストリアスによるものがあります。
今回ご紹介するのは、ピアニスト、ブラッド・メルドーの「ジ・アート・オブ・ザ・トリオVol.1」からのこの曲です。ブラッド・メルドーは、現代を代表するジャズ・ピアニストと言ってよいでしょう。そのブラッドが真っ向からこの曲に取り組んでいます。
ベースのパターンによるイントロからブラッドはメロディをストレートに奏でていきます。アドリブに入るとリズムが強調され、音楽ががぜんイキイキとスウィングするのがわかります。
けれんみのないストレートな表現が、原曲のポール・マッカートニーの歌にはなかった爽やかな雰囲気を強調しています。ファイド・アウト(音楽がだんだん小さくなって終わること)によるソロ・ピアノのエンディングも、さらに聴きたい思いにさせ、上手なつくりになっています。
ザ・ビートルズと言えば
おまけ グラント・グリーン「抱きしめたい」より「抱きしめたい」
ビートルズ初期の大ヒット!「抱きしめたい」をブルージーにジャズ化した名演がこちら。
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演奏は、イギリスっぽさのまったくない、これぞソウル・ジャズ!そして実はここでもっとも注目すべきは、ドラマーのエルヴィン・ジョーンズです。
とくにソロを取ったりとか派手なことは一切していませんが、時折りバックで聴かせるブラシによる複雑なドラミングは、これぞジャズメンのロックと言えるものです。この味のあるビートルズが気に入ってしまったら、もうソウル・ジャズファンへの入り口です。
この当時は、ビートルズの曲をいろいろなジャズメンが取り上げています。そちらを、探して少しずつ聴いていくことをおススメいたします。きっと、普段のロックとは違う世界が広がることでしょう。
今回のロックの名曲のジャズ名演、いかがでしたか。今回ご紹介した以外にも、まだまだたくさん名演はあります。そちらも機会を見てご紹介していきます。それでは、また次回お会いしましょう!