女の心に秘められた男性性――「アニムス」
女性を「オトコマエ」に変える無意識からのメッセージとは?
アニムスが表す男性性とは、論理性や合理性、厳格さや勇ましさなどの男っぽさをイメージさせるもの。このように、一般的な女性の持つ「女らしさ」と対をなす男性的な心の機能が女性の無意識の中に秘められていると、ユング心理学では考えられています。
たとえば、闘争的にバリバリ働き、妥協を許さない。厳格なルールや目標で自分や家族を縛り、例外を許さない――こうした男性的な行動が目立つ女性には、アニムスの特徴が強く現れているのかもしれません。また、“寿退社”や“専業主婦”といったいかにも女らしい人生選択を軽蔑する女性も少なくありませんが、これはアニムスの働きによって、女性らしさに留まる生き方に過剰に反発しているせいなのかもしれません。
こうした女性の心の動きを「アニムス」の視点から考えてみましょう。
アニムスの4段階、あなたはどれ?
アニマと同様、アニムスにも4つの段階があり、憧れる男性像や男性的なイメージ、行動などによって、自分自身のステージが分かれると考えられています。第1段階は、「力のアニムス」。この段階では、男性的な力強さ、体格や俊敏さなどに惹かれます。たとえば、「大きくて頼りがいがある感じ」「体力があって強そう」といった強いイメージに価値を見出している段階です。
第2段階は、「行為のアニムス」。男性的な行動力や実行力に憧れを抱きます。たとえば、昼夜を問わずバリバリ働くようなバイタリティ、感情を排して突き進む潔さ、といったことに価値を感じます。
第3段階は、「言葉のアニムス」。この段階からは、知性を発揮して仕事や諸事に対処する力に価値を感じていきます。物事を論理的、合理的に処理し、言葉で説明できる聡明な人に憧れを見出します。
第4段階は、「意味のアニムス」。知性をさらに熟成させ、物事や人生に秘められた深い意味を読みとれるまでの深い洞察力を持った人に価値を見出します。
男性的な強さや行動だけに惹かれている女性は、低いアニムスに留まっている状態だと言えるでしょう。とはいえ、いずれはそれだけでは飽き足らなくなり、知性や深い洞察力を持つ人に関心を持つようになると言われます。さて、あなたはどの段階でしょうか? 次のページでは、アニムスの段階を進み切った後に見えてくる世界についてお伝えします。