住宅ローンの借り換え・返済/住宅ローンの借り換え先の選び方

定年後リバースモーゲージへの借り換えメリットは?(2ページ目)

定年退職後に住宅ローンが残っていると、不安なのは「毎月の返済が滞りなくできるのか?」という事。返済が滞ってしまうと、一括弁済を請求され、住み慣れた我が家を失い、路頭に迷う可能性があります。そのような時には「リバースモーゲージ」への借り換えを考えてみるのも良さそうです。さて、「リバースモーゲージ」とはどのような仕組みなのでしょうか。

中村 諭

執筆者:中村 諭

住宅ローンガイド

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リバースモーゲージのメリット・デメリット

●メリット
収入や預貯金といった現金は少ないが、「持ち家」という資産を持っている高齢者が多いのが日本国の特徴です。これまでは「持ち家」を活用して、現金化するには、「売却」するか、「他人に貸す」ことで、家賃収入を得るのが一般的でした。

しかしながら、これらはいずれも、自らが住み続けることはできません。リバースモーゲージなら、住み慣れた我が家を手放さずに、生活に必要な資金を手に「資金繰り対策」ができます。これが大きなメリットです。その他には次のようなことが挙げられます。

・住宅ローンと異なり、定年退職後(年金収入のみ)でもお金が借りられること
・住宅ローンと異なり、高齢でも借りられること

対して、デメリットは次の通りです。

●デメリット

(1)不動産価格の下落リスク
自分が住んでいる「不動産」に価値があるからこそ、金融機関はお金を貸してくれるのだが、将来、その不動産価値が落ちてしまうと、銀行から「担保評価を超える融資になってしまったので、一部、お金を返してほしい。」と言われる可能性があります。

金融機関がリバースモーゲージの融資額を、対象不動産の評価額の50%~70%までに抑えているのですが、理由がここにあります。

(2)金利上昇リスク
リバースモーゲージで融資を受ける際、多くの場合、変動金利となっているため、借りている期間中に、金利が上がってしまうと、毎月の利払い額が増えてしまいます。

毎月の利払いの不要な銀行であれば、将来(自分の死後)の返済額が利息分増えてしまう計算になるので、融資の枠を減額される可能性があります。

(3)長生きのリスク
例えば、1000万円の融資を受けられたとします。
その中から毎月8万円を生活費として、取り崩して使用すると、125か月、つまり、10年6か月後には使えるお金は無くなることに。借りる期間が長ければ、長いほど、将来困ることになる可能性が高い。つまり、融資申し込み時の年齢が若ければ若いほど、融資期間が長くなるため、融資し難い仕組みになっています。

(4)その他

・高齢者でも、家を担保にお金を借りられる仕組みなので、高齢者をターゲットにした悪質な犯罪に注意が必要

・不動産の評価価値が高い「土地」への融資のため、地方住まいの方は使い難い

・高齢者にとって、持ち家(戸建て住宅)を単身で維持管理することは加齢とともに難しく、生活の利便性なども考えると、マンションへの住み替えが増えているが、「土地」という資産価値が無いマンションへの融資は基本的に難しい

・住宅を売った場合と比較すると、思ったほど借りられない

・「遺言信託」などの利用を契約の条件にしている銀行もあり、借りるときにある程度の費用が必要である

・基本的に不動産を子や孫に残すことはできない。(子や孫が銀行から買い取ることは可能。)

・「持ち家」を手放す前提の仕組みの為、融資を受ける本人以外の同居人を制限・排除することになり、子供が老親を同居介護している場合も融資が難しい

次のページでは、住宅ローンをリバースモーゲージに借り換えた事例をご紹介します。

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