住宅ローンの借り換え・返済

住宅ローン究極の選択? 変動金利のままでいくか固定金利に借り換えるか、判断のポイントは?

住宅ローンの金利上昇局面では、金銭的にはもちろん精神的にも負担が重くのしかかります。少しでも負担を軽減することができるよう、変動金利のままでいくか固定金利に借り換えるか、判断のポイントを確認してみましょう。

執筆者:大島 浩之

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住宅ローン金利の選択に悩む夫婦

変動金利のままでいくか固定金利に借り換えるか、判断のポイントは?

住宅ローンの金利上昇局面では、金銭的にはもちろん精神的にも負担が重くのしかかります。少しでも負担を軽減することができるよう、変動金利のままでいくか固定金利に借り換えるか、判断のポイントを確認してみましょう。

なんと言っても精神的に安心したい

2009年からの約15年間、変動金利の基準金利は全く動きませんでした。しかも、各金融機関間の金利の引き下げ競争が激しくなり、適用金利自体は下がり続け、限りなく0%に近づいています。そのため、これ以上下がる余地も少なくなっていました。

一方、今後金利が上昇するとなると、返済額を引き上げる際は上限を1.25倍までに抑える「125%ルール」があるため、一定の制限はあるものの、返済額に含まれる利息の割合が高まり、最悪「未払利息」が発生してしまう可能性があります。金利がバブル時の8%を超えることも理論上はあるため、精神的に不安になるのは当然です。

そこで、経済情勢を常に注視していられない、とにかく、精神的に安心してすごしたいという方は、変動金利の金利が少しでも上昇するかその前にでも、固定金利に借り換えるべきです。

中には、当初変動金利で借り入れた時に比較したであろうその時の固定金利の金利と、借り換えのタイミングでの固定金利の金利とが同水準になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

これまで、変動金利の超低金利の恩恵を享受できた分、最初から固定金利にしていた場合の総返済額よりも抑えられたというお得感もあり、借り換えにちゅうちょせずに済むかもしれません。

とはいえ、今後の変動金利の金利が上昇し続けるのかどうかわからないのに、変動金利の金利よりも高い金利の固定金利に借り換えることは、「損」を確定するようでちゅうちょしてしまう方もいらっしゃることでしょう。

そこで、金銭的に総返済額が少なくなるための判断ポイントはあるのでしょうか。

半年後にどれくらい上昇するかは、わからなくもないですが……

変動金利の金利は、日本銀行の政策金利の影響を受ける短期プライムレートに連動します。異次元ともいわれるマイナス金利政策もそろそろ終わりを告げようとしている今、遅くとも、2024年4月頃までには変動金利の金利は少なくとも0.1%は上がってしまうでしょう。

もっともこれはあくまでも予想で、日銀が2%の物価安定目標の実現に向けて重視している春闘の結果次第では、マイナス金利政策が維持される可能性もゼロではありません。

またその後、どのタイミングでどれだけ上がるのかは、単なる予想や期待に過ぎず、どんなに優秀は経済学者であってもわからないというのが本当のところです。

つまり、変動金利の金利が上がっても我慢する場面や借り換えを検討すべき場面など、返済総額を安く抑える方法がわかれば理想的ですが、これは最終的な結果論でしかないのです。

また、総返済額が少なくなる方法を追求すると、借り換えのタイミングを逸してしまい、その時点での借り換え先の固定金利の金利が一段高くなってしまうリスクもあります。

したがって、月々の返済額でいくらまでなら支払えるか、借り換え先の固定金利の金利でデッドラインを決めておくというのが判断ポイントになります。

月々の返済ができなければ元も子もないため、具体的には、固定金利の金利が2.5%になったらとか、3%になったらというように、変動金利から固定金利へ借り換えるのも一つの方法です。

ただし、固定金利の金利は10年物国債利回りに連動し、借り換えたタイミングが高づかみになっている可能性もあるため、やはり借り換えは難しい問題といえるでしょう。

あとは、大局的な視点、判断ポイントとして、日本の人口が減少しているという事実もあります。

人口減少によって、今後、高度経済成長期やバブル期のような需要が供給を上回り続ける景気の良い時代はこないと思うのであれば、大幅な金利の上昇は期待できないとも考えられます。その場合、変動金利のままでいきながら、繰り上げ返済などで月々の返済額を調整する程度になるでしょう。

まとめ

金利動向は、明確に「変動金利のままでいくか固定金利に借り換えるかの判断ポイントはこれだ!」とお示しできない難しい問題です。

金銭的にも精神的にも安心できるのは、借り換え先の固定金利の金利にデッドラインを設定して、借り換えを検討するパターンです。ファイナンシャルプランナーである私の立場としてはこの「安全策」を推奨すべきなのかもしれません。

しかし、残りの返済期間が短ければ短い方ほど、変動金利のままにしておくことで総返済額を少なくできる可能性があります。変動金利の金利上昇はわずかなものであり、「逃げ切れる」のではないかと考えます。
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