節税対策

節税するなら、年内にこれだけはやりましょう!

個人事業主の方は、12月が決算月となりますので、節税対策をするなら年内に済ませておく必要があります。中小企業経営者の方も、個人の節税期限は年内です。今回は、そんな「今すぐ」やるべきことをまとめてご紹介します。

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド

小規模共済、倒産防止共済は年払で大幅節税

中小企業基盤整備機構が運営している共済に、小規模企業共済と倒産防止共済があります。

小規模企業共済は、個人事業主や中小企業経営者を対象とした、将来の退職金に備えた共済制度です。毎月の掛金は最高7万円で、支払った金額は年末調整や確定申告で全額控除することができます。

倒産防止共済は、取引先の倒産に備えた共済制度です。毎月の掛金は最高20万円で、掛金合計が800万円になるまで積み立てることができます。40ヶ月加入すると、解約しても掛金が100%戻ってきます。こちらは個人事業主に限定されますが、掛金は全額経費として計上することができます(不動産所得を除く)。

どちらの制度も年払が可能ですので、小規模企業共済であれば年84万円、倒産防止共済であれば年240万円の支払が可能です。

ふるさと納税も年内ならOK

自治体への寄付、いわゆるふるさと納税も年内に支払えば、平成26年分の寄付金控除の適用を受けることができます。

寄付金控除の限度額は、所得に応じて決まります。限度額以内の寄付であれば、2,000円の自己負担のみで、残額は確定申告で還付されます。年末調整では寄付金控除の適用はありませんので、確定申告する必要があります。

平成26年分の寄付金控除の適用を受けるには、必ず年内に支払わなければなりません。また、寄付金控除には領収証の添付が必要になります。クレジット払いの場合は、領収証が手元に届くのに約1ヶ月程度かかりますので、ご注意下さい。

個人事業の場合は消費税判定が必須、簡易課税の改正にも注意

個人事業主の方は、年内に下記の2つを確認しておく必要があります。
・平成26年分の売上見込み
・平成27年分の消費税計算方法の選択

消費税をシミュレーションする上で分岐点となるのが、課税売上1,000万円と5,000万円です。個人事業主の場合、平成26年の課税売上が1,000万円を超えれば、その2年後である平成28年は課税事業者、5,000万円を超えれば、平成28年は原則課税(簡易課税は適用不可)となります。11月までの売上と12月の売上見込みを念頭に置き、上記分岐点を睨みつつ、年内の売上構成をシミュレーションして下さい。

また、平成27年分の消費税計算方法の選択は、年内にしておかなければなりません。

平成25年の課税売上が1,000万円以下である場合には平成27年は免税となりますが、消費税が還付になる可能性があれば、課税事業者を選択した場合のシミュレーションをする必要があります。平成25年の課税売上が1,000万円超5,000万円以下であれば、原則課税か簡易課税かいずれか有利な方を選択することができますので、そのシミュレーションが必要です。

なお、平成26年3月に消費税の改正が行われ、原則として平成27年4月1日以後に開始する課税期間から、簡易課税のみなし仕入率の見直しが行われます(別途、経過措置の届出をした場合を除く)。金融業及び保険業と不動産業が増税となり、個人事業主の場合、平成28年分から適用になります。

国外財産、来年から新たな調書制度がスタート

平成26年1月から国外財産調書制度が始まり、今回が2回目の適用となります。平成26年12月31日において5,000万円を超える国外財産を保有する場合には、平成27年3月15日までに国外財産調書を提出しなければなりません。調書の提出を避けたい場合には、年内に国内財産への組み替えや、国外支店の外貨預金を国内支店に移すなどの対策が必要になります。特に、今年は円安が進行していますので、外貨金額が同じでも、円換算額は増えていますので、ご注意下さい。

また、平成27年1月から新たに国外証券移管等調書制度が始まり、国内の証券口座から国外の証券口座へ有価証券を移した場合等に、証券会社等から税務署に支払調書が提出されるようになります。こちらも来年以降、調書の提出を避けたい場合は、年内に対策を打つ必要があります。ただし、国外口座に移しすぎると、逆に国外財産調書制度の対象になる可能性がありますので、両方を考慮した対応が必要です。     

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