映画「ブレードランナー」はサンフランシスコが舞台
まるでSF?10年後コールセンターの仕事はなくなるか
1982年公開の映画「ブレードランナー」。未来のサンフランシスコを舞台に主演のハリソン・フォードが日本の親父の屋台で飯を食べたり、巨大ディスプレイに芸者とともに滋養強壮剤「強力わかもと」の広告があらわれ独特の雰囲気が味わえます。続編が来年から撮影に入る予定ですが、映画「ブレードランナー」の原作はSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」です。
第三次世界大戦後、主人公の賞金稼ぎが火星から逃亡してきたアンドロイドに対処する物語。人工知能についていろいろ考えさせられるSFでしたが、いまや人工知能がSFではなくビジネスにいかに応用するかという時代になっています。
人工知能の研究でいかに人間がすごいか分かった
電車のダイヤ作成にエキスパートシステムが使われている
この会議から人工知能がスタートしました。情報工学の授業で必ず習うのが「シャノンの定理」。この定理を作ったクロード・シャノンやマービン・ミンスキーなど、そうそうたるメンバーがダートマスに集まり会議が行われました。
研究が進むと人間がいかにすごい情報処理をやっているかが分かってきました。それぞれの専門分野で研究しているだけではだめで、協力して解明していく必要ができ認知科学が誕生します。認知科学は心理学、言語学、人類学、神経科学、哲学などで構成されています。
人工知能の技術を応用し誕生したのがエキスパート・システム。専門家(エキスパート)の暗黙知を顕在化させルール化し、仕事をする時に、あたかも専門家のサポートが受けられるようにしたシステムです。例えば鉄道会社がダイヤ編成(時刻表)を作る時、特急、急行の追い越しなど様々な要素を考慮して作り上げていきます。筋屋と呼ばれる職人芸が必要ですがエキスパート・システムを使ってラフ・プランを作り、あとは人間が調整し時間短縮をはかっています。
チェスの王者をコンピュータが破る
チェスの王者をコンピュータが破る
ディープ・ブルーの前にディープ・ソートというコンピュータがあり、カスパロフに挑みましたが敗退。リベンジするために開発されたのがディープ・ブルーです。1秒間に2億手の先読みを行い、対戦相手となるカスパロフの思考を予測します。
1996年2月に行われた試合ではカスパロフが3勝1敗2引き分けで勝利。1997年5月の試合では6戦中2勝1敗3引き分けでディープ・ブルーが勝利し、世界で最初に人間のチェス世界チャンピオンを破ったコンピュータとしてその名を歴史に刻むこととなります。
初代のディープ・ソートという名前はダグラス・アダムズのSF作品『銀河ヒッチハイク・ガイド』からきています。
→ 人生、宇宙、すべての答えは「42」
将棋でもコンピュータが人間に勝利するが囲碁は困難
将棋でもコンピュータが人間に勝利
2013年3月30日の第2回将棋電王戦で現役プロ棋士5人と5つのコンピュータープログラムが団体戦形式で戦いコンピュータ側が3勝1敗1分けとし、人間が団体戦で敗れました。ついに将棋でもコンピュータが人間に勝利する日がきました。
将棋とくれば、次は囲碁です。チェスや将棋は駒に役目があり動きが決まっていますが、囲碁の駒は黒石か白石だけ、石のつながり、地の大きさ、石が生きているか(目があるか)など局面の状況を考え、評価する必要があり、計算が難しくなります。
2013年からコンピュータ囲碁大会で決勝に進んだ2つのプログラムが、日本棋院のプロ棋士とハンデ付きで戦うようになりました。コンピュータ同士の戦いで勝ち残ってきたのが「Crazy Stone」と「Zen」の2つのプログラム。
プロ棋士が対戦しましたが準優勝の「Zen」に黒石4個を置かせた不利な状態で戦いながらプロ棋士の勝利。次に優勝した「Crazy Stone」にも黒石4個を置かせて戦いましたが、こちらは3目負けでコンピュータの勝利。アマ6段の力は十分にあるというのがプロ棋士の評価でした。年々、開発が進んでいますので囲碁でコンピュータが人間に勝利する時代がくるのも、そう遠くないでしょう。
次は「ロボットは東大に入れるか」です。