マーケティング/マーケティング事例

代官山テノハに見る、発展続けるシェアオフィスの現在(2ページ目)

2014年11月28日(金)、代官山にシェアオフィスなどのコンセプトを取り入れた、「TENOHA DAIKANYAMA(テノハ ダイカンヤマ)」がオープンした。近年人気のシェアオフィスだが、テノハの試みは流行の一歩先を行くものだ。クリエイティブなオフィスと商業施設を組み合わせ、あらたなビジネスとライフスタイルを生み出していく実験の場として注目を集める。なぜいま、シェアオフィス事業なのか、マーケティング視点で解説します。

新井 庸志

執筆者:新井 庸志

マーケティングガイド

シェアオフィスの進化を読み解く

そもそもシェアオフィスブームは約10年前から始まった。最初は六本木ヒルズ、渋谷セルリアンタワー、大手町ファーストスクエアのような大企業が多く入居するビルを中心にしたものだった。数年前、ノマドがブームになると、それまでのシェアオフィスとは異なるシェアオフィスが出現し始めた。広いラウンジには大きなテーブルがあり、居住者同士が出会う場所となっている。またネットワーキングができるようにレクリエーションやサークル活動などを催すところも出てきた。 オフィスデザインも、よりカジュアルでデザイナーズの要素を取り入れたものが増えてきた。こうしてシェアオフィスやカフェで仕事をすることが、ノマドや若い起業家のスタイルになってきたのだ。

そして2014年。TENOHAは、シェアオフィスのスタイルをさらに進化させた。

シェアオフィス

二階のシェアオフィス

TENOHAは今まではなかったユニークな特長を持ったシェアオフィスだ。TENOHAのシェアオフィス入居者は、自分たちが手がけた雑貨、アートなどの作品を1Fの雑貨店舗で販売ができる。必ずしもすべての作品が販売できるわけではないのだが、門戸は大きく開けており、チャンスは大きい。自分の作品が代官山駅前の店舗で飾られ、売ることが出来るというメリットはとても魅力的だ。その意味で、TENOHAはクリエイターやアーティストにとってうれしいシェアオフィスだといえる。

TENOHA登場で、代官山がカルチャーの街として復活する

かつて代官山は流行やカルチャー発信の街だった。今もオシャレなカフェや雑貨店やアパレルショップが点在する。ただ、ガイドは約20年に渡り代官山を見てきたが、年を追うごとにオシャレであるもの、クリエイティブな雰囲気が薄まっているように感じていた。代官山の持つ発信力が弱まっているように思われてならなかった。

しかし、その風向きが変わり始めたのは代官山に誕生した蔦屋書店だ。これを契機にクリエイティブを発信する人達が代官山に増えてきた。私の知る限りでも、伊藤直樹氏が代表をつとめるPARTYや、植原亮輔氏のKIGIなど、日本を代表するクリエイティブ企業が代官山に居を移した。

TENOHAは5年間限定のオープンだ。かつて代官山が醸し出していたアート、ファッション、デザイン、カルチャーなどクリエイティブな匂いを取り戻し、代官山という街の魅力を高めるため、東急はTENOHAという5年限定の「ビジネス×カルチャー複合施設」を手がけたのだとガイドは感じている。

TENOHAはシェアオフィスを進化させるだけでなく、代官山という街自体を進化させる役割も担っているのだ。
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