マーケティング/マーケティング事例

代官山テノハに見る、発展続けるシェアオフィスの現在

2014年11月28日(金)、代官山にシェアオフィスなどのコンセプトを取り入れた、「TENOHA DAIKANYAMA(テノハ ダイカンヤマ)」がオープンした。近年人気のシェアオフィスだが、テノハの試みは流行の一歩先を行くものだ。クリエイティブなオフィスと商業施設を組み合わせ、あらたなビジネスとライフスタイルを生み出していく実験の場として注目を集める。なぜいま、シェアオフィス事業なのか、マーケティング視点で解説します。

新井 庸志

執筆者:新井 庸志

マーケティングガイド

突如代官山に出現したTENOHAとは?

テノハ

新しいシェアオフィスのかたちを提案するテノハ

2014年11月28日(金)、代官山に新たな施設「TENOHA DAIKANYAMA(テノハ ダイカンヤマ)」(以下、TENOHA)がオープンした。そこは代官山駅から徒歩2,3分、まさに駅前という最高の場所にある。外観からは2階建ての建物が入口から見て逆U字のように開けており、中庭はピロティのようになっている。オシャレなヨーロッパの雰囲気が漂う作りだ。

オープン前日に訪れた際、一般の方々はまだ入場できなかったのだが、ガイドが10分間くらい入口付近で様子見をしていた間に10組以上の人達が中を覗き込んでいた。駅前に出来たオシャレな施設が何なのか、通りかかる人達も興味津々なのだ。ちなみにオープン直後の週末、29日(土)に訪れた際には、多くの人でにぎわう様子が見られた。

TENOHAを仕掛けるのは東急不動産だ。渋谷周辺から東横線沿線は東急の街といっても過言ではない。たとえば、同社は東急百貨店、渋谷109、渋谷ヒカリエ、表参道東急プラザ、キュープラザ原宿など数々の商業施設を手がけ、沿線を活性化させている。その東急が、代官山の街の魅力をさらに高めようと仕掛けたのがTENOHAだ。

シェアオフィスはクリエイティブなデザイン

一階のコワーキングスペース

一階のコワーキングスペース

TENOHAの中には、雑貨などを販売する店舗、カフェバー、レストランなどがある。そして、その中心的存在となっているのがシェアオフィスだ。シェアオフィスの建物は二階建てで、1Fはフリーアドレスで大きなテーブルやソファなどが設えられている。そして、2Fは基本的には間仕切りが施された、専用オフィスとして使えるスペースが並ぶ。1人用にテーブルとチェアが用意されたオープンデスクもあれば、最大4人まで入れる個室タイプもある。

内装は打ちっぱなしのコンクリがそのままで塗装などはなく、建材風の木材が基調。コンクリの殴り書き数字が意図的に残されているのも興味深く、クリエイティブな印象を受けるシェアオフィスに仕上がっている。

シェアオフィスと人気の理由

シェアオフィス人気はますます高まっている。会社設立費用、運営費用を抑えたいという節約志向だけが人気の理由ではない。そこに集まった、感性も嗜好もビジネス領域も異なる人達とのネットワーキングが楽しいことも大きな理由だ。

さらに、代官山のようなブランド力のある住所に比較的低予算で居を構えられることも、名刺やホームページ上のブランディングを考えればメリットのひとつだといえる。したがって人気のシェアオフィスは渋谷や表参道周辺だけでなく、六本木や東京駅周辺にもある。また、住所によって、活用する人達の特性やシェアオフィス内の雰囲気が千差万別に変わっているのはとても興味深い現象だ。
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