巧妙なマーケティングとトレンドの押さえ方

さらにシャトレーゼの好調には2つの理由がある。一つ目は「時代のトレンドを掴んでいること」、二つ目は「安さにこだわる経営戦略」だ。

まずは「時代のトレンドを掴んでいること」について説明したい。2014年のヒット・トレンドのキーワードとしては「良質&低価格」が挙げられる。世の中にモノが溢れた結果、消費者はより低価格のものを買うようになった。そうした流れの中、企業側は“安いながらも質の良いもの”を届けることに力を入れはじめた。結果として、安いということだけでモノが売れることは少なくなり、「良いものなのに安い」が売れる時代になったのだ。

シャトレーゼのアイスクリームは「この商品で、この価格、このクオリティだったらお買い得」と消費者に思わせる魅力がある。同社創業は昭和29年、60年も続く老舗企業だ。もともと人気のアイスクリーム店なのだが、先に挙げた「十勝あずきバー 64円」という事実をみて分かるように、「良いものなのに安い」が支持されるトレンドが後押しし、人気急上昇に繋がったのだ。


価格へのこだわり

二つ目は「安さにこだわった経営戦略」だ。シャトレーゼが店舗の立地場所を郊外のみにするのは、徹底的に価格にこだわりたいからだ。だからこそテナント料がかかるデパートやショッピングモールへの出店は行わなず、都心部や人通りの多い場所での出店も行わないのだ。

これは結果的に別の効果も生んでいる。デパートやショッピングモールならば、お客さんの中に不特定多数の人が増えるため、流行りすたりの不安定要素が増える。しかし、わざわざ交通の便が良くない場所に来てくれるお客さんは、シャトレーゼの魅力を本当に感じてきてもらえるお客なのだ。つまり中長期的に見ても、上客になる確率が高いファンなのだ。

立地場所だけではなく、高い生産性にも徹底的にこだわっている。そのため工場における生産工程では多くのプロセスを機械化している。とにかく「美味しいのに安い」と感じてもらえることにこだわり、ぶれない経営戦略を続けていることがシャトレーゼの好調を支えている2つ目の要因なのだ。


シャトレーゼ人気は続くのか

現在のシャトレーゼ人気は今後も続くのだろうか。答えはYESだ。今やコンビニやイオンのような大型スーパーマーケットが全国各地に存在している。そこには都会でも地方でも同じような製品が並ぶ。また都市部における地方物産展やイベントが増加していることもあり、地方に行かなければ食べられないというものは少なくなってきた。

こうした中、デパートやショッピングモールからの出店要請を頑に拒むシャトレーゼのようなブランドへ消費者の注目は集まっていく。あえて足を運ばないと食べることが出来ないシャトレーゼの人気はますます高まって行くはずだ。人々の旅志向が海外旅行から国内旅行へと変わり、なるべく近場で安く過ごしたい家庭が増える中で、少し遠出をした時に食べられるシャトレーゼの存在は、彼らの思い出の中に根付いていくことだろう。


好調シャトレーゼ、ヒットの方程式

シャトレーゼは時代の波をうまく掴んで成長した。アイスクリーム市場の成長の波を掴んだだけでなく、お菓子業界全般を通し「美味しいのに安い」というヒットのポイントを掴んだのだ。そこに、シャトレーゼの長年に渡るブレない経営を時代が後押ししたことで、今回のヒットが生まれたのだ。アイスクリームだけではない。クリスマス商戦を控えたいま、シャトレーゼの“美味しいのに安い”ケーキはとりわけ消費者の目には魅力的に映るだろう。多くの家庭の食卓にシャトレーゼのケーキが並ぶ光景も想像に難くない。

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