相変わらず売れ行きの良いタワーマンションだが…
昨今販売価格が高騰し、売れ行きがまだら模様の新築マンション市場だが、総じてタワーマンションは好調といえる。当サイトでも取り上げた「プラウドタワー立川」平均坪単価342.5万円、「プラウドシティ蒲田」(いずれも野村不動産)同320万円はその代表的なプロジェクトだだろう。少し前は「トミヒサクロス」「パークシティ大崎ザタワー」「ブリリアタワー池袋」が話題に。大崎駅前再開発エリアに至っては、現状坪単価で400万円台(新築)程度にまで上昇している。豊洲同様、タワーの集まる街並みは景観の良さが際立ち、全体相場を押し上げる効果が働くのだろうか。
タワーマンションは「規模の利益」を出しやすい。豊富な共用施設に、セキュリティも集中させることができる。眺望の良さはあらためていうまでもないだろう。価格帯が広いがゆえ大量集客が比較的容易でハイグレードな上層モデルルームがイメージを底上げするという理由から、メディアなどでも頻繁にお目見えする。だから、概して「タワー人気」は印象に残りやすい。だが、「タワーならどれも同じ」といえるほど市場は単純ではなかろう。
タワーマンション好調の背景にある理由
「タワーマンションならどれでも買い」と判断するのは早計。不動産はあくまで「個」で見極めるべき。条件の揃った物件もあれば、そうでない物件もある。肝心なことは自分の要望を満たすことができるかどうか。そもそもなぜタワーマンションが人気なのか。まずは、冷静に分析する必要があるだろう。例えば、近年顕著なアジアの富裕層が買うケース。日本人が持ち家として買う場合、立地環境以外にも設備や管理、構造や性能などをチェックして選ぶのに対して、彼らはまず「海外でも知名度のあるエリア(SHINJUKU、ROPPONGIなど)を優先する傾向が強い」(業界関係者)。ほとんどの海外の購入者は移住するわけではないため、居住性より資産性に重きを置くだろう。相続税対策としてタワーマンションを買う人たちも出口(賃貸や売却)を意識して購入するという点では似通っている部分も多いかもしれない。
つまり、為替や相続税改正といった(住宅分野に直接的な関わりをもたない)市場背景がタワー人気の要因であり、マイホームに本来求めたい居住性がどれほど秀でているのかは自分の目で確かめる必要があるということ。
ヒントはコンセプト、管理
2000年以後、タワーマンションブームは「都心回帰現象」とも呼ばれた。郊外で子育てを終えた一戸建てオーナー夫婦が、利便を求めて都心へ。あるいはシングル世帯が管理・セキュリティに優れたタワーを買う、といったイメージだ。ところが現実は、もっと多様化している。「湾岸戦争」と命名されるほど超高層プロジェクトの乱立した東京臨海エリアでは、ファミリー中心の地域も珍しくないようだ。早くに火ぶたを切った芝浦地区では「小学校のクラス数が多い学年で3倍に膨らんだ」(「都心湾岸物件8年目のリアル」より)という。
もし購入を検討されている理由が「子どものために持ち家を」なら、賃貸化しやすい棟と同じようなライフスタイルの集まる棟とどちらを選んだほうが好ましいか。答えは自ずと出ているだろう。ヒントは、新築マンションならまず開発コンセプトを理解すべき。中古マンションならコミュニティ活動や管理をチェックするとよい。
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