今回の来日公演では、世界の名振付家による5作品が一挙上演されます。
これらの演目を選んだ理由とは? また、特に想い入れのある作品などありましたらお聞かせください。
マルティネズ>私がスペイン国立ダンスカンパニーの芸術監督として日本に来るのは今回が初めてです。ですから、カンパニーを紹介するため、そしてダンサーたちを存分にいかし切るために、どのような演目を選ぶかということに非常に重きを置きました。今回選んだのは、キリアン、フォーサイス、ナハリン等巨匠たちの名作です。これらの作品を、ひとつの公演で数珠つなぎのように見せていきたいと考えています。どの作品も全て好きで、またどの作品が特に重要ということもありません。日本の観客が初めて観る作品もあります。『Sub』は、ランバート・バレエ団のために創作された作品で、2013年にスペイン国立ダンスカンパニーのレパートリーになりました。とても男性的、かつフィジカルな作品で、7名のダンサーがエネルギーを使い切り、倒れるまで踊り続けます。まさにカンパニーの現在の姿です。
『Sub』 (C) Emillio Tenorio
『天井桟敷の人々』はどの程度アレンジされるのでしょう?
再構成にあたりこだわった点、見所をお聞かせください。
マルティネズ>まず、『天井桟敷の人々』の抜粋を、ガラ公演でみせるパ・ド・ドゥのようなコンサートバージョンとして紹介したいという想いがありました。1台のピアノ、ひとつのベッドと赤いカーテンがあり、そこでカップルに扮するダンサーが彼らの別れのドラマを生きるのです。舞台は情熱に溢れ、公演の中でも大変特別な瞬間になるでしょう。パ・ド・ドゥがより一体化するように、音楽はピアノの生演奏を選び、その後に加えたバティストの悲しみのソロとの対比としました(『天井桟敷の人々』の全幕バージョンではこのソロは別のパートで踊られている)。すなわち、この作品は新しい振付によるモンタージュ作品です。