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高級マンションのリフォーム事例<港区虎ノ門>(2ページ目)

「虎ノ門ヒルズレジデンス」(港区虎ノ門1丁目)のリフォーム住戸を取材。先進タワーは今年6月開業。新築リフォームの意味合いとその全容を解説する。高級感をさらに引き立てる詳細に注目。

坂根 康裕

執筆者:坂根 康裕

高級マンションガイド


唯一無二の眺望

リビングダイニング

リビングダイニング(A)

対象住戸は専有面積が80平米台、間取りは2LDK。向きはやや北寄りの西向きで、正面に新宿方向を望む。全居室が開口に面し、ほぼすべての場所から絶景が視野に入る。地上200m超からの景色はまさしく唯一無二といえるものだ。2年ほど前、同社関係者に「日本一になりますか」と尋ねたら「世界一の間違いでは?」と返ってきたが、数々の超高級マンションを作り運営してきた森ビルのひとつの集大成であろう。是非画像をクリックして拡大し、他物件では見ることのできない「室内とバルコニー空間の連続性」を堪能していただきたい。

さて、そんな日本を代表する先進ハイグレードタワーに今般リフォームが施された。新築であるため、一般的な「経年の刷新」が目的ではない。利用価値をさらに高めるための試みである。

下の画像(B)は、リビングダイニングのソファーコーナーを撮影したもの。20畳弱程度の、ときに家具レイアウトに頭を悩まされる広さと形状だ。そこでまず、仕上げの異なるダークな天然石を交互に貼りあわせアクセントウォールとし、空間の位置付けを明確化。天井の折り上げ部には2つの框を装飾。円形テーブルをセットしたダイニングゾーンが程良く収まった。

リビングダイニング

リビングダイニング(B)


テーブル上に吊るされた照明器具は同ビル内「アンダーズ東京」の「AO SPA AND CLUB (アオ スパ&クラブ)」廊下に下げられた照明がモチーフ(前ページ参照)。「共用部と自室のテイストに、いかに繋がりをもたせるかも要素のひとつ」と設計者の各務さんは言う。

ちなみにひとつ上の画像(A)では、バルコニーに近い壁の部分に縦長の鏡を貼っているのだが、これは眺望を映す面積を増やすことで空間の広がりをねらったアイデア。二重パネルを部分的にはめ替えたため、面はフラットである。今回のリフォームプロジェクトでは、内装だけでなく、家具・照明、絵画まですべてカガミデザインリフォームが手掛けた。

機能向上、質感の整合性

テレビボードとキッチン

テレビボードとキッチン(C)

空間の「機能性」と「クオリティー」の引き上げに関しては、こちらの画像(C)で解説したい。バルコニーを背にして玄関およびキッチンを向いて撮ったものだ。

玄関スペースはカラ―ガラスをランダムに貼りあわせ奥行き感を出す演出を試みているのだが、採光に、室内につながる扉部分にスリットを入れてある。取っ手はスチール製だ。左の壁には薄型テレビを内臓した。周辺機器は背面、つまり玄関側に(一部クローゼットを改造して)収納。厚みを増した壁の側面には角度を付け鏡を付けている。

吊り戸棚のない開放的なキッチンは、シンクに立てば都心が一望できるポジションにある。そのカウンタートップがダイニング側から見えないよう、衝立を加えた。壁面は玄関部のモザイク貼りを踏襲(ホワイトなので画像では分かりにくいかもしれないが)。冷蔵庫の隣は、物入れだったのをレンジをビルトインし、下部は炊飯器を出し入れできるスライド式に変更。生活感の出やすい白物家電を格納できる工夫を施した。限られたスペースの効率性を高め空間の機能向上を。一貫したテーマを設定し質感が増した。価値向上が目的ならときに経年は要件の上位にこない。

バルコニーからの眺望

バルコニーからの眺望


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