「諸聖人の日」とは?
Toussaint は祭日になっています
フランス語では、Toussaint(トゥッサン)と呼ばれます。
Fête de tous les saints、 つまり、すべて(Tous)の聖人たち(Saints)を祝うのでToussaintです。
記録によると、シャルルマーニュ(742~814)の時代には、
すでに11月1日に諸聖人の日を祝うことが一般化していたそうです。
諸聖人の日の翌日は死者の日
カトリック教会の典礼暦では、「諸聖人の日」の翌日、11月2日は「死者の日(Défunts / デファン)」となっています。「死者の日」は、亡くなった全ての信者を記念する日とされています。2世紀以降、キリスト教では、ミサの中で死者のために祈るようになりました。やがて7世紀になると、亡くなったすべての信者のためにミサをささげることが各地で行われたそうです。
そして、998年にブルゴーニュ地方にあるクリュニー修道院のオディロ院長が、すべての死者の記念を行う日を11月2日に統一したことから、死者の日が11月2日に定められました。
11月の初めにはお墓参りを
後に、11月2日は一般の人々も亡くなった近親者を祭る日となりました。本来の意味から考えると、11月2日にお墓参りをするのが本当かもしれませんが、11月1日にお墓参りをする人もいます。11月1日が祭日になっ ているのに対して、2日は祭日にはなっていないのが理由のようです。また、この時期、学校が秋休み(Vacances de Toussaint)に入るので、帰省時の都合の良い時を選んでお墓参りをすることもあるようです。
と言うわけで、11月1日、2日を前後する期間は、日本で言うお彼岸やお盆のような位置づけ。
提灯や特定のお供え、しきたり、お寺での法要などはありませんが、亡くなった親族や近しい人のためにお墓へ行き、墓地の手入れをして花を捧げるのは日本のお墓参りと同じです。
墓地に持参する花
売り出し始めた菊の鉢植え
この頃に寒さが増すので、外に置いておいても寒さに耐えうる花というと菊が選ばれるようです。白、紫、赤、黄色などの鉢植えが墓地に供えられます。
日本でも菊は「仏花」として使われることがありますが、フランスでも同様に菊はお墓参りの花、お墓に供える花というイメージが強いようです。フランス人から招待されたときに菊の花を持っていくのは気をつけたほうがいいでしょう。日本での菊のイメージや伝統を上手に伝えてください。
フランスではハロウィンをする?
なかなかリアルなハロウィンの飾りつけになったウィンドー
「諸聖人の日」の前日なので関係がありそうですが、
フランスではハロウィンは公には祝いません。
一般にハロウィンの習俗がカトリック本来の習慣ではないという認識からくるようです。そんな訳で、一時、フランスでも秋のイベントとして盛り上がりを見せましたが、今では下火になりました。
とは言え、秋の装飾としてお店のウィンドーがテーマカラーのオレンジと黒で彩られ、カボチャやハロウィンにちなんだものが置かれていることがあります。
どちらかというと、商業的な要素が多いようです。
11月1日は祭日?
先にも書きましたが、11月1日は祭日です。フランスでは日曜、祭日はお店はお休みということになっていましたが、近年、他の祭日も返上して営業するお店も出てきました。そこで、11月1日も営業するお店があります。・11月1日も営業しています
Magasin ouvert le 1er Novembre
(マガザン ウヴェーる ル プるミエーる ノヴォンブる)
と、事前に宣伝する店が増えてきたように思います。
やはり、諸聖人さまも商業パワーにはかなわないのでしょうか。
※発音表記は、区別をするために、R の音はひらがなで、L の音はカタカナで表示しています。
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