「生の魚を食べる」が信じられなかった時代

90年代のフランス……親日家のマダムやムッシュの間では「テンプラ」や「スキヤキ」とともに三大日本料理のひとつとして知られた「スシ」ですが、一般にまで浸透していたわけではありません。ともすれば、日本がどこにあるかもおぼつかない感じで、ほかのアジアの国と勘違いされることも少なくありませんでした。個人の経験にはなりますが、日本文化の一環としてお寿司やお刺身を紹介すると「日本人は魚を生で食べるのか!?」と嫌悪されることもしばしば。パリではなんとか食べられたお寿司でしたが、地方ではそれは夢のような話でした。

スシ・ブームの到来

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スシ・ヤキトリを扱うアジア人経営の日本食レストラン

その後、マンガやアニメのブームを経て、2000年を過ぎるとお寿司はスシ(sushi/スシ)として知られるようになりました。2010年にはフランス本土の日本食レストランは1580軒という数字があるそうです。これは必ずしも日本人経営のお寿司屋さんというわけではなく、主に中国を代表とするアジア人経営によるレストランがほとんどで、主にヤキトリと一緒に扱っています。そのお陰で、今では小さな地方都市に行ってもスシを食べることができます。


すっかり親しまれるようになったスシ

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メニューに一緒に並ぶスシとヤキトリ

こうして、目を見張るほどの速さでブームになったお寿司は、 フランスで"生魚"からスシに昇格し、ヘルシーで美味しいものとして確固たる位置を占めました。ここまで人気になったのは、アジア系日本食レストランで取り入れた、「スシとヤキトリ」の組み合わせによるところも大きいのではないかと思います。魚料理・肉料理のどちらかに偏らず、両方取り入れたことで家族やグループで行きやすいレストランになりました。

こうして、かつては三大日本料理として知られていた、「テンプラ・スキヤキ・スシ」の組み合わせに替わり、「スシ・ヤキトリ」が日本食の代表として親しまれるようになりました。余談ですが、今ではラーメン・餃子、うどん、たこ焼きなども人気です。

かつて、フランス映画でこんなセリフが使われたこともあります。

J'adore les sushis ! ジャドーる レ スシ
お鮨大好き

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