ジョギング・マラソン/ジョギング・マラソンの走り方、トレーニング

ゆっくり走って無理なく痩せるスロージョギングの効果

スロージョギングには、ウォーキング以上の消費カロリーや遅筋の使用、毛細血管の増加などさまざまな効果があると言われます。これらの効果は、健康促進やダイエットに有効です。運動が苦手という方でも取り組みやすいでしょう。

三河 賢文

執筆者:三河 賢文

ジョギング・マラソンガイド

スロージョギングの効果とは?

スロージョギングの効果

スロージョギングの効果

健康促進やダイエットなどに有効として、スロージョギングが注目されています。このスロージョギングとは、その名の通り「ゆっくりとしたペースで走る」ジョギングのこと。ペースは歩くのとさほど変わらないくらいに落とします。いわゆる有酸素運動に含まれますが、ペースがスローなので「走るのはちょっと…」という方でも取り組みやすいのが大きな特徴です。

しかし世の中にさまざまな健康・ダイエット方法がある中で、「本当に効くの?」と半信半疑な方も多いことでしょう。そこで今回は実際にスロージョギングで期待できる効果について、具体的な内容をいくつかご紹介していきます。
 
<目次>
 

ウォーキングを上回る消費カロリー

健康やダイエットのために、ウォーキングを始める方は多いでしょう。朝起きて歩いたり、帰宅時に1駅前で降りて自宅まで歩いたり。確かに生活の中へ運動を取り入れることは、健康やダイエットにお勧めです。

しかしダイエットを目的とした場合、残念ながらウォーキングで大きな効果を得るためには、相当な努力が必要となるでしょう。なぜならウォーキングによる消費カロリーは、1時間で約170~200kcal程度(体重や速度により異なる)に過ぎないからです。

体重1kgをカロリーに置き換えると、7000kcalとなります。つまり200kcalをウォーキングで消費するとして、30日間続けても1kgすら落ちないという計算です。さらに、もし現時点で摂取カロリーがオーバーしていれば、いくら歩いても体重は減りません。運動を除いた摂取カロリーと消費カロリーが同じ状態においてウォーキングを毎日1時間続ければ、やっと1kg弱体重が落ちるということになるでしょう(実際には、もう少し複雑になりますが…)。

そのためダイエット効果を得るのであれば、運動により消費するカロリーを増やす必要が出てきます。では歩く時間を延ばすのかと言えば、限られた時間の中において、それはなかなか困難です。

そこで、運動負荷を上げてみます。ウォーキングをスロージョギングに変えることで、同じ時間における消費カロリーは約1.6倍と言われています。これなら、いきなり大幅な体重減こそ厳しいですが、無理なく着実にダイエット効果を得られるでしょう。
 

遅筋を使うことで疲れにくい

筋肉には、次のように2つの種類があります。
  • 持久的な運動に適した『遅筋』
  • 瞬発的な運動に適した『速筋』
同じジョギングでも、ランニングペースが上がることで速筋が使われていきます。もっと極端に言えば、短距離ランナーはほとんど速筋を使って走っている状態です。しかし速筋を使った瞬発的な動きは、長く持続することができません。すぐに乳酸が溜まり、脚が動かなくなっていくでしょう。
スロージョギングは「遅筋」を使ってゆっくり走る

スロージョギングは「遅筋」を使ってゆっくり走る

しかしスロージョギングは、遅筋による運動です。長く続けても、さほど疲れは溜まらないでしょう。だからこそ、誰にでも無理なく始めることができます。

さらにスロージョギングを継続することで、この遅筋がより鍛えられていきます。するとより長い時間・距離を走っても疲れない持久力が養われ、スロージョギングの効果は一層高まっていくのです。
 

栄養の体内循環が効率的になる

プロランナーでも、ランニングペースを落としたLSD(ロング・スロー・ディスタンス)というトレーニングを行っています。これはスロージョギングと同じく“ゆっくりとしたスピード”で、且つ長く走るというトレーニングです。

「どうして速く走れるのに、わざわざゆっくり走るの?」

と、疑問に思われる方もいるのではないでしょうか。その効果は、スロージョギングにも共通するものがあります。先に挙げた遅筋を鍛えることも1つの効果ですが、スロージョギングには毛細血管を増やす効果も期待できるのです。

人間は呼吸によって酸素を取り入れ、食事等によって栄養を摂取します。この酸素や栄養を身体中へ運ぶのが、毛細血管です。ゆっくりとしたジョギングで毛細血管が増えると、より効率的に酸素や栄養が体内を循環するようになり、エネルギーの消費効率も上がります。つまり、“脂肪が燃えやすい”身体が作られていくというわけです。

毛細血管を増やし、エネルギーをより効率的に使える身体を作ること。健康やダイエットだけでなく、アスリートが記録を狙うためにも重要な要素なのです。
 

糖質<脂肪の燃焼効果

エネルギーの生成や循環はとても複雑な仕組みですが、健康促進やダイエット効果を得たいと考える人であれば、「脂肪を燃やす」ことが大きな目的となるでしょう。

人間は運動する際、エネルギーを消費します。このエネルギーは食事等から摂取するのですが、エネルギーとして使うことのできる栄養素が「糖質(炭水化物)」「タンパク質」「脂肪」です。これらの栄養素を消費することで、人間は運動を続けることができます。よく「脂肪を燃やす」という表現がされますが、これはつまり、脂肪をエネルギーとして消費することを意味しているのです。
いかに効率よく、脂肪を燃焼させていくかがポイント

いかに効率よく、脂肪を燃焼させていくかがポイント

運動する際、真っ先にエネルギーとして使われるのが「糖質」です。まず糖質がエネルギーとして使われ、次に「脂肪」が使われることになります。よく「運動を始めて20分後から脂肪が燃焼する」などと言われますが、これは糖質が使われて脂肪の燃焼が始まるまでの時間を表しています。

しかし、糖質が無くならないと脂肪が使われないわけではありません。むしろ脂肪を燃焼するためにもエネルギーは必要であり、その役目を糖質が担っていると言われます。つまりジョギングなどの運動をする際は、糖質と脂肪、双方をエネルギーとして使っている状態です。

糖質と脂肪。実はこの2つの栄養素の使われ方が、運動強度によって異なるとされています。そしてスロージョギングにおいては、その効果として「糖質より脂肪が使われやすい」と言われているのです。ゆっくり走れば走るほど、速く走るより脂肪が優先的に燃焼される。そう考えれば、スロージョギングは健康促進やダイエットに効果的と感じられるのではないでしょうか。
 

スロージョギングによって「運動できる身体」を作る!

青空の下、スロージョギングに出かけてみよう!

青空の下、スロージョギングに出かけてみよう!

ここまで、スロージョギングによって期待できる効果をいくつかご紹介してきました。ただし、いくらスピードがゆっくりと言っても、ウォーキングより身体への負荷は増えてしまいます。

そのため、怪我などを起こさないために、姿勢やフォームを身に付けておくことが大切です。フォームについては、以前の記事「ランニングの正しい姿勢と走り方の姿勢が良くなるトレーニング法」でご紹介していますので、参考にしてみてください。

スロージョギングによって「運動できる身体」ができてくれば、ランニングなどよりカロリー消費が期待できる運動にも取り組めるようになるでしょう。健康やダイエットに向けた1つのキッカケとして、試してみてはいかがでしょうか。ただし効果を得るためにはある程度の継続が必要なため、焦らずじっくり行うことが大切です。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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