ローソンが動いた
成城石井の魅力とは
1.成城石井買収を加速させたナチュラルローソンの不振
ローソンが成城石井を買収したのには大きな理由がある。その一つがナチュラルローソンの不調だ。野菜や肉などの生鮮品の他、オーガニック系の商品を扱うナチュラルローソン。最初こそ好調だったが、現在ではその勢いをやや失った感がある。現在はまだ約100店舗で、2013年に掲げた「5年間で3000店舗」という目標にはまだまだ遠い。これは働く女性をターゲットとしたランチ、一人暮らし(特に女性)や共働き家庭の夜ごはんを狙ったものの、うまくいっていないことを示している。つまり、普通のコンビニであるローソンはもちろん、ナチュラルローソンでもこうした層のニーズを満たすための商品が不足していたということだ。今回の買収には、成城石井の”お惣菜”という商品力をローソンやナチュラルローソンにも展開することで、この不足点を再度充実させようという狙いがあるのだ。
2.あえて成城石井のブランドネームを残す
ただチャネルを増やすだけだったり、商品力を得るためであれば、成城石井のネーミングを捨てローソングループの名前にすれば良い。同社では普通のコンビニがローソン、低価格の店が100円ローソン、自然派志向の店がナチュラルローソンとしている。成城石井の特徴である高級志向を踏まえるならば、さしずめプレミアムローソンという名称あたりでも良いはずだ。しかし、買収後もあえて成城石井の名称を残すのは、成城石井が持つ商品力だけでなく”成城石井”というブランドネームの力を最大限活用したいがためなのだ。3.店舗平均売上高でセブンイレブンに追いつきたい
コンビニ業界でもセブンイレブンの好調ぶりが目立つ中、ローソンとしてはこれ以上水をあけられたくないのが本音だろう。ローソン玉塚社長によると、一店舗の一日あたりの平均売上高を見ても、セブンイレブンが約66万円であるのに対して、ローソンは約54万円だ。全店舗の売上高合計で勝負することは出来なくても、成城石井を買収することで、一店舗あたりの売上高でセブンイレブンに追いつく道筋がつけられる。一つ一つの地域でセブンイレブンに勝っていくことで、中長期的にセブンイレブンとの差を縮めていく戦略を取っているはずだ。ローソンが成城石井を買収する必然性
セブン&アイでも、イオンでもなく、ローソンが成城石井を買収するのは必然だった。それは、単にローソンが成城石井の売上げを付加したかったという理由ではない。また、多業態の事業を持つことで経営のリスクを分散できるということだけでもない。上に述べた3つの本音こそローソンが成城石井を買収した理由なのだ。※関連記事
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