総コレステロール、悪玉コレステロールを単独で悪者扱いをする時代は終わった?
昔はコレステロールというと総コレステロールを指標にし、値が高いと生活習慣を注意されたり、薬の使用につながっていました。その後、悪玉コレステロール・善玉コレステロール・中性脂肪などが別々に評価されるようになりました。善玉コレステロールが優秀でも、悪玉コレステールが高めだと、やはり食習慣や生活習慣を注意されていたのではないでしょうか。
もっと最近では、善玉コレステロールと中性脂肪を総合的に評価するなど、新たな傾向が見られます。
評価の方法が変わってきているということは、一昔前までは食生活の改善や服薬を指示された人が、実はもともとの食生活・生活習慣で大丈夫だった……ということも出てきます。今までの苦労は何だったの……というケースもあるかと思いますが、時代とともに変化が発生することは否めない点もあります。
脂質異常症に限らず、何らかの食事療法をしている人は、定期的に専門家に相談するべきです。食事療法も時代とともに変化します。
コレステロールや中性脂肪の基準値も変わってきた
食事で注意するべきポイントが変わってきた??
検査値が緩和されて色々な議論を引き起こしているようですが、昔は総コレステロールの値だけを元に食事制限を言い渡されるということもあったわけで、これからも色々な変化が見られるのでしょう。臨床家ならば、これまでの基準値と病気の罹患に矛盾があると感じていた人も多いのではないかと思います。だからこそ、より効果的な基準を作ろうと改善をしているのだと思います。これは日本だけではなく、ガイドが現在住んでいる国でも同じような傾向が見られます。
善玉・悪玉・超悪玉コレステロール、中性脂肪ってそもそも何?
血中脂質は(善玉・悪玉・超悪玉コレステロール、中性脂肪など)、コレステロール・タンパク質・脂質・中性脂肪などの材料から成り立っていますが、材料の割合などに応じて違う名前が付いています。善玉コレステロール、悪玉コレステロール、超悪玉コレステロールには、輸送車のような役割があり、水に溶けないコレステロールや脂質を乗せて血液という道路を通って、体中に届けたり、回収したりします。善玉コレステロールは脂質などを回収し、悪玉・超悪玉コレステロールは脂質をあちらこちらに届けてしまいます。
昔、食べ物が十分ではない時代は、悪玉・超悪玉コレステロールは体中に脂質を届けてくれる大切な役割がありました。しかし、十分な食事がとれている人が多い日本では、やはり悪玉扱いになります。ただし、極端に悪玉コレステロールが低い場合は、栄養失調や病気の可能性があります。
それで、結局何に注意するべき?
最近は、善玉コレステロールと中性脂肪の比率や、超悪玉コレステロールが病気を予防する指標として注目されてきているようです。超悪玉コレステロールは悪玉コレステロールが小型化したもので、多くの中性脂肪を含みます。悪玉コレステロールが正常でも、実は超悪玉コレステロールは過剰というケースもあるようです。超悪玉コレステロールは測定が難しいため、今のところは中性脂肪の値から推測しています。
要するに私たちが気にするべきことは、善玉コレステロールと中性脂肪ということになります。
善玉コレステロール(HDL)を改善する方法
- 運動する
- タバコを吸わない
- 標準体重をキープする
- 油の種類に注意する
トランス脂肪酸を抑える: マーガリン、ショートニング、マーガリンやショートニングを使った焼き菓子、ファーストフードの揚げ物、レトルト食品など
一価不飽和脂肪酸を取り入れる: オリーブオイル、オリーブ、キャノーラオイル、カシュナッツ、ピーナッツ、アボカドなど
オメガ3脂肪酸を取り入れる: くるみ、あゆ、いわし、さば、こい、うなぎ、さけ、まぐろ、太刀魚、にしん、ぼら、さんま、いくら、チアシード、フラックスシードなど
中性脂肪を上げてしまう要因
- 精製された炭水化物(ぶどう糖果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖、清涼飲料水、炭酸飲料水、お菓子、菓子パン、白パン、白米、麺類など)
- アルコールの過剰摂取
- 運動不足
- 肥満
- 高血糖値
やっぱり食事と運動、少しは努力しないとね。
まとめ
善玉コレステロール(HDL)と中性脂肪を重視した食生活の特徴としては、基本的に高度な技術によって加工・生産された食べ物を抑え(果糖ぶどう糖液糖やトランス脂肪酸など)、運動をして、標準体重が維持できれば、割と何を食べても大丈夫ということかと思います。運動をせずにやせ気味の人は、血管によい食べ物を十分に食べていない可能性もあるため、痩せてること自体は病気のリスクを減らさないという報告もあるようです。あとは、タバコは吸わずに、アルコールは適量を守ることが大切なようです。