火災保険の10年超の契約引き受けが停止に
火災保険、10年超の契約はなぜ停止?
近年増加する自然災害(集中豪雨、台風、土砂災害、竜巻、大雪など)により収支が悪化していることや、将来の収支予測が難しくなったことが背景にあるようです。
10年超の火災保険契約ができなくなると、特に住宅購入時に負担する火災保険料が大きく変わります。火災保険契約において10年超の契約ができなくなった場合、具体的に今後どう考え、動くかをお話しします。
火災保険を長期契約すると保険料が割安になる
もともと火災保険には1年契約だけでなく長期の契約もあり、現状は最長36年間までの契約が可能です。特にマイホームを購入した際、住宅ローンの返済期間に合わせて長期契約し、保険料を一括払いするのが比較的多いパターンです。長期契約のメリットは、契約期間を長くするほど保険料が安くなること。長期契約の保険料は、1年間の保険料に所定の長期係数を乗じて計算します。その長期係数は、契約期間が長くなるほど割安な保険料になる仕組みです。
<長期係数の例>
3年:2.7
5年:4.3
10年:8.2
15年:11.85
20年:15.25
25年:18.55
30年:21.45
35年:24.70
(2015年10月以降も、10年までの長期係数は上記と同じです)
例えば年間3万円の火災保険料で30年契約をする場合、3万円×30年ではなく、3万円×21.45で計算するわけです。
※実際の計算は端数処理の関係で変わりますので、あくまでもイメージと捉えてください。なお地震保険は最長5年までしか契約できませんので、今回は別に考えてください。
このように、長期契約になるほど保険料はお得になります。
火災保険の長期契約にはデメリットもある
一方、火災保険の長期契約にはデメリットもあります。・火災保険の契約内容を忘れがち
・保険の見直しをする機会が少なくなる
・火災保険も新商品は出るので、年数が経つと内容が古くなりがち
しかし前述のとおり、長期契約だと保険料はかなり安くなります。この点は無視はできません。
今回の改定に伴い、保険期間10年に自動継続の特約を付帯できるようにするところもあるようです。たとえば住宅ローンを30年で組んだとして、火災保険は保険期間10年の自動継続にすることで、住宅ローンの30年間を契約上担保する仕組みです。ただ自動継続でも、継続時に保険料率が変わっていればそこで改めて計算されるので、保険料のメリットは特にありません。
今のうちに中途解約して10年超の契約をし直す手も
これから住宅を購入して火災保険に加入するなら、やはりなるべく長期の契約にしたほうがお得感は大きくなるでしょう。既に契約していて、仮に2015年秋で10年超の契約が停止となるとして、多少満期が先(2016年など)でも中途解約して長期契約をし直すのも選択肢の一つです。ただ、たとえば10年くらい前に保険期間30年の火災保険の契約をした人が今回解約する必要があるかというと、そうでもありません。この間にも何度か保険料率は変わっていますし、長期係数も改定になっています。このようなケースであればそのままにしておくのが無難かと思います。
具体的な数字を試算して検討してみてください。10年超の火災保険契約をするつもりの人は、予算も含め、火災保険の契約内容や満期日を一度確認しておきましょう。
改定後、10年超の契約はできなくなりますが、それでも長期契約が有利であることに変わりません。保険料の節約を考えるなら長期契約は選択の一つに入れておきましょう。
新築・築浅物件に対する新たな割引制度が始まる?
なお、2015年10月より新築や築浅の物件(~10年くらいまで)について割引制度を作るようです。損保会社によって多少差異があるようですが、築浅の物件や新築した人にとってはいい話でしょう。10年超の契約ができるほうがはるかにお得ではありますが、覚えておいてください。【関連記事】
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