松本氏は大学院終了後、伊藤忠商事に20年間在籍され、最後の6年間は医療系子会社で経営の舵取りをされました。ジョンソン・エンド・ジョンソンでは医療系事業のトップを経て、定年までの8年間同社社長をされました。2009年、カルビー社に移り、現在、同社の代表取締役会長兼CEOに就任されています。
劇的な成長を成し遂げるために、トップリーダーとして必要なこと
プロとしての成果が大前提-経営のプロフェッショナル、松本晃さんの考え方だ
つまり、この5年間で劇的な成長を遂げているのがカルビー社で、トップである松本氏のリーダーシップに拠るところが大きいものです。
松本氏曰く、会社経営は、“世のため、人のため”という視座と、儲けるという視座の2つで成り立っているとのこと。経営に欠かせない3つの柱は、ピラミッドの下から上に、ビジョン、プラン、リーダーシップとのことです。前職のジョンソン&ジョンソンの「我が信条」という企業理念は有名ですが、責任の優先順位は顧客、従業員、社会、株主の順になっています。カルビー社でもこの順番で考える新しい企業理念を策定されています。
積み上げ式の目標策定(帰納法)ではなく、あくまでも理想の姿を見据えての目標策定(演繹法)が大事とのこと。かなりストレッチしたゴールセッティング(ジャンプしてぎりぎり指先が届くイメージ)なのでしょう。
カルビー社の変革-どこにメスを入れたか
松本氏曰く、「会社を変革するためには、人からではなく、仕組みを変革することが第一」とのこと。「次に組織、最後に人」という順番で考えることが重要です。今日のマーケティングには、「顧客のためにというのではなく、顧客の立場で何が求められているか」という視点が必要になります。松本氏が大きくメスを入れたのは次の2つだといいます。ひとつは、営業は外で勝負する仕事なので、「オフィスは不要、残業手当も不要、報酬は出来高払い(コミッション制)」としたこと。もうひとつは全社的に「中央集権ではなく分権化を心掛け、権限をどんどん下に委譲してきた」ことです。