職場のセクハラ対策は万全ですか?
改正されたセクハラ指針を踏まえ、実態調査・防止対策を進めましょう
最近のデータによると、都道府県労働局雇用均等室による「男女雇用機会均等法」(以下、「均等法」と記載)に関する相談の約半数が、職場のセクハラ相談になっています。いったん、セクハラが起こってしまうと、就業環境は著しく悪化してしまいますし、当然、業務への支障につながることでしょう。
ポイントはセクハラが起こらないような未然の体制づくり。最近では、女性労働者だけでなく、男性労働者に対するセクハラや同性に対するセクハラも多く見られますね。均等法では、対象を男女労働者とするとともに、その防止のため、労働者からの相談に応じ、必要な体制の整備や、雇用管理上必要な措置を講ずることを事業主に義務づけています。
そうした状況下、平成26年7月1日に男女雇用機会均等法施行規則が改正されました。今回の記事で改正点を確認し、早急に社内の実態調査、防止対策を積極的に進めましょう。
異性間だけでなく同性間のセクハラ対策も必要
■男女雇用機会均等法施行規則(以下、「施行規則」と記載)改正平成26年7月1日~、施行規則が改正され、「職場におけるセクハラ対策」の指針が変更されています。従来セクハラは異性間におけるハラスメントとされてきましたが、前述のような同性間のセクハラ等にも対策が必要であることが明記されました。
■今回改正された指針 1~4(太字部分が改正点)を確認しよう!
1.職場におけるセクハラには、同性に対するものも含まれると明示されました。同性に対するセクハラ対策を講じていない場合、異性間と同様に法違反となります。
2.セクハラに関する方針の周知・啓発をするにあたっては、その発生原因や背景について労働者の理解を深めることが重要ですが、発生原因や背景には、性別による役割分担意識に基づく言動があると考えられるため、こうした言動をなくしていくことがセクハラの防止を高める上で重要であると明示されました。
3.セクハラの相談対応に当たっては、現実に生じている場合だけでなく、発生のおそれがある場合や該当するかどうか微妙な場合でも、広く相談に応じること。例えば、放置すれば就業環境を害するおそれがある場合や、性別役割分担意識に基づく言動が原因や背景となってセクハラが生じるおそれがある場合などが考えられると明示されました。
4.セクハラが生じた場合は、行為者だけでなく、被害者に対して適切な事後対応を行うこととしています。具体的な対応例は以下のとおりです。今回(5)の例が追加されました。
【具体的対応例】
- (1)事案の内容や状況に応じ、被害者と行為者の関係改善に向けた援助
- (2)被害者と行為者を引き離すための配置転換
- (3)行為者による謝罪
- (4)被害者の労働条件面での不利益の回復
- (5)管理監督者や産業保健スタッフなどによる被害者のメンタルヘルス不調への相談対応 (←今回追加)
職場におけるセクハラは「対価型」と「環境型」
職場におけるセクハラには「対価型」と「環境型」があります。- 1.対価型セクハラ
- 2.環境型セクハラ
次のページでは、セクハラの判断基準を解説しています。