視野の広さから生まれる、懐の深い靴!
セメント製法での底付けが基本のKenji Hashimoto Orthopedic Shoe Makerの靴ですが、いわゆる九分仕立てやご覧のようなフルハンドソーン・ウェルテッド製法での底付けにもオプションで応じてくれます。求める性能や予算に応じての選択肢が、他のビスポークアトリエより広いのが何より嬉しい!
コスト面のみならずセメント製法の靴の圧倒的な利点が、この「速く作製できる」点。他にも底付けの縫い目が存在せずそこから雨が浸み込まない等、安かろう悪かろうではなく活用次第でそれはもっと評価されるべきなのです。橋本氏によると、接着剤の技術革新には著しいものがあり、懸案だった底の張り替えも問題無く可能だそうで、お手入れさえ怠らなければこの底付けでも十年以上確実に履けるものをお届けできるとのこと。レザーソールのみならず、軽くてクッション性に優れたEVAソール(多くのスニーカーに見られるあれです)も用意されている点も含め、テクノロジーの進化を積極的に採り入れる整形靴の製造に携わっていたからこその、より広い視野に立ったメニューと言えます。
「整形靴の仕事をしていた頃、作製中に『この靴で果たして喜んで歩いてくれるのかな?』と考え込んでしまうことが度々ありました」と語る橋本氏。「『速く作って訓練や外出の機会も少しでも早めてあげたい』との思いで真剣に取り組んでいた訳ですが、医学的に正しいとは頭では解っていても、整形靴はその分意匠がどうしても無機質になりがちで、そこが常に引っ掛かっていたのです。だから今、顧客の方から出るデザイン的な要望は出来る限り満たしてあげたい。機能面なだけでなく心理的な面からも快適に履ける靴を、顧客の方と同じ目線で、一緒に創り上げて行ければと思っています」
上の靴の底面です。お手本のようなフィドルバック! これで履き心地に最先端の要素がしっかり含まれているのですから堪らない! 因みにこの底付けを行ったのは橋本氏ではなく別の職人さんなのですが、この方も今後要注目なのであります。詳細は次回の記事でお伝えしましょう。こうご期待!!
本格稼働してからまだ間もないものの、早くもリピーターが付き始め立ち上がりは順風満帆。今後は神戸のアトリエ以外にも、JR京都伊勢丹や東京・原宿のOLDHATでも定期的に受注会を行う予定だそうで、作品を目にできる機会も増えそうです。Kenji Hashimoto Orthopedic Shoe Makerの靴は、ファッションの世界で暫し耳にする「クラッシック」なる響きに、何処か表層的で実際の生身の人間と繋がらないもどかしさを感じる読者の方にこそ履いていただきたい、正に「今」と言う大地にしっかり足を付けることができる、美しくかつ実用性の高い靴です!
【店舗案内】
Kenji Hashimoto Orthopedic Shoe Maker
住所 : 〒650-0016 兵庫県神戸市中央区橘通3-3-12 ボシュケ橘南1F
TEL : 050-3596-8400
HP : Kenji Hashimoto Orthopedic Shoe Maker
営業時間 : 12:00~19:00(これ以外の時間の場合も応相談)
定休日 : 月・火曜日(祝日も休み)
【商品価格(いずれも税抜き。またいずれも仮縫い代を含みます)】
カスタム:初回は12万8000円~(短靴・セメント製法・EVAソール)
→木型が同一で大丈夫な場合、2足目以降ここから木型作成代3万円が引かれます。またデザインも同一で大丈夫な場合、2足目以降ここから更に1万円が引かれます。
キャスティング:初回は18万8000~(短靴・セメント製法・EVAソール)
→木型が同一で大丈夫な場合、2足目以降ここから木型作成代6万円が引かれます。また、デザインも同一で大丈夫な場合、2足目以降ここから更に1万円が引かれます。