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LANケーブルとハブ
ハブ(Hub)とは、ネットワークで利用する複数の機器をLANケーブルで接続するための機器のこと。よくあるパターンを紹介しよう。
「無線LANルータを利用している。いままでは、背面にある4ポート(差し込み口)にそれぞれ4台のコンピュータやTVを接続していたが、ほかにもネットワークに接続したい機器が出てきた。ポートが足らない。どうしよう」
このような場合に利用するのがハブだ。ハブを利用するとポートの数を増やすことができる。
ハブの接続方法
まずは、上に挙げたように無線ルータのポート数をハブで増やしてみよう。一般的に販売されているハブには、5~8個のポートがある。その1つとポート数が足りなくなったルータのポートを接続する。共に、接続するポートはどのポートでもよい。これで下図のように利用できるポート数を増やすことができる。ハブのポート数は多めの方がよい
2つ程度の機器を増設するのなら、安価な5ポートのハブで十分といえるだろうか。先に挙げた例を見てみよう。5ポートのハブを導入したのに、3ポート(現状利用できるポート数:7ー既存のポート数:4)しか増えていない。これは、無線LANルータとハブを接続するために2ポートが必要だからだ。ハブは、増設する際に2ポートが占有されることを念頭に置こう。さらに、接続したい機器は今後まず増える。増設するのであれば少なくとも8ポートのハブを選択しよう。
1000BASEのハブが標準
パソコンショップで普通に販売されているハブには、100BASE対応機種と1000BASE対応機種がある。これは、転送速度が100MBpsと1000Mbpsの違いだ。価格的に数千円の差があっても1000BASE対応のハブを購入して欲しい。ExcelやWordのファイルをコピーする程度であれば、100BASEでもよいが、インターネットの転送速度でも100MBpsを超えることが多いし、動画ファイルや音楽ファイルを扱うことが多くなってきた昨今、100BASEではとても対応しきれなくなってきている。1000BASEの環境は、もはや標準といえる。100BASE対応のハブは近々姿を消すだろう。
一応AUTO-MDIX対応かを確認する
従来までは、以下のように利用できるLANケーブルに制限があった。- ハブと機器を接続:ストレートケーブル
- ハブとハブを接続:クロスケーブル
AUTO-MDIX対応のハブであれば、どの種類のLANケーブルをどの場合に利用しても接続が可能だ。ハブを増設する場合にどこにでもあるストレートケーブルが利用できるのは有難い。クロスケーブルは、ショップの片隅にひっそりとある程度だ。
現在販売されているハブのほとんどはAUTO-MDIX対応だが、一応購入の際に確認しよう。
ハブのレイアウトに注意
ハブには、接続や作動確認のためのLEDと接続ポートが同じ面についている機種と、表にLED、裏に接続ポートが配置されている機種がある。机の上に載せて利用するのであれば、後ろに接続ポートがあった方が便利なので利用環境をよく確認してから購入するようにしよう。また別件にはなるが、壁掛けができるか、金属製の板に固定できる磁石が付いているか、も使う環境によって考慮しよう。
ホームユースならファンレスの機種がおすすめ
少し大きめのハブには、排熱のためのファンが付いている。専用の部屋にネットワーク機器を置くのであれば問題ないが、ファンは24時間回っているので生活する部屋に置くのは避けた方がよい。ビジネスでハードに使うのでなければ、ファンレス仕様の機種を選択したい。また、別件にはなるが環境にやさしい省電力設計のハブを選択するのもよいだろう。
高価なハブは速度も違う?
店頭でハブの価格を比較すると、同じような仕様でも結構価格差がある。有線ルータや無線ルータの場合は、機種によって速度や機能が異なるが、ハブの場合は、仕様が同じであれば、どの機種でも処理速度や使い勝手の差はないと思ってよい。価格.comなどの口コミを参考にして手頃な機種を選択すればよいだろう。試しに手持ちのハブの実効速度を計測してみた。Logitec LAN-GSW05/PHは、低価格機種だが、他の機種とほとんど同じだ。というか、ほぼ定格の1000Mbpsを出しているので何ら問題はない。
- Logitec LAN-GSW05/PH:946 Mbits/sec
- IO-DATA ETG-ESH8:948 Mbits/sec
- BUFFALO 無線LAN・WZR-HP-AG300HのLANポート:946 Mbits/sec
(注)iperfで計測した実効速度。
スイッチングハブの仕組み
ハブは、通常スイッチングハブと呼ばれることが多い。専門家は、略してスイッチとも言う。スイッチとは、信号の流れをちょうどスイッチがあるかように制御するからだ。下の図を見て欲しい。LAN内のコンピュータは、すべてMACアドレスと言う識別番号で区別されている。現在MACアドレス01~05を持つコンピュータは、それぞれ順にA~Eまでのポートに接続されている。ここで、たとえばMAC:01コンピュータからMAC:05コンピュータに信号を送ったとしよう。信号(正確にはMACフレームという)には、送信元MAC:01/送信先MAC:05とい情報が記録されている。
Aポートから入った信号は、スイッチングハブ内にあるMACアドレステーブルを参照して、ポートEに信号を送出する。ここで重要なのは、B~Dのポートには送出しないことだ。数十年前は、常にすべてのポートに信号が送られ、「自分宛の信号は受け入れ、そうでなければ捨てる」というずいぶん無駄なネットワーク構成が主流だった。
とはいっても、MACアドレステーブルは最初から出来上がっているわけではない。MACアドレステーブルが無い状態で信号が送られたとき、入ってきた信号の送信元MACアドレスとそのポート番号を順次記録してMACアドレステーブルが出来上がっていく。MACアドレステーブルに宛先MACアドレスがない信号は、すべてのポートに送出されるが、そのうちすべてのポートとMACアドレスの紐付けが終わると、宛先MACアドレスのポートのみに信号が送られることになる。
ネットワークの調子がどうもおかしいときは、スイッチングハブの電源を抜き差しして、MACアドレステーブルを初期化するのも一つの手段だ。覚えておこう。
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