帰省先の実家での体調不良……原因は?
子どもが帰省先で体調を崩すと、子ども本人のみならず皆が疲弊します
長い帰省の行程で疲れてしまったから? 自宅と違う地方の気候で、風邪を引いた? マンションと戸建ての違い? うちの子の身体が弱過ぎるせい?
でも、一年以上元気に過ごして来たのに帰省先で、突然喘息の発作が起こってしまったり、花粉の季節でもないのに親の方までいきなり一晩中クシャミ、鼻水、鼻づまりに見舞われたりすることがあって、やっと「ハッ」と気づくわけです。
……これ、アレルギー反応なんじゃない? とすると、あやしいのは、もしかすると、この……お布団?!
「帰省先・里帰りアレルギー」の実情
慣れない土地で、初めての病院にお世話になる……・なるべくなら避けたいことです
「お盆に帰ると十中八九、子どもが喘息発作を起こす。救急に駆け込んだこともあるけれど田舎なので病院まで遠すぎるし、お盆休み中でスタッフも少なくとても怖い思いをした」
「実家の人たちにアレルギーの知識がなかったため、子どもが体調を崩す度にいたたまれない思いをした。それが嫌で、もう何年も帰省を断り続けている。おかげで、義父母との関係がギクシャクしかけている」
「帰省する度に、発作まではいかないまでも、子ども達の具合が良くなくなり、ぐったり元気がないのでいろいろ詮索される(偏食だから、栄養が足りないんじゃないか、都会育ちは云々)」
「自分としては客用布団や、普段閉めっきりの夫の元・自室(帰省中はそこで寝泊まりする)のホコリやカビが影響していると思っているのだけど、義父母にそれをどう説明したら良いのか分からないし、言いにくい」
びっくりしますが、その場にいるほとんどの親御さんが「あるある!」と深く頷くのです。深刻度に差違はあれ、この類いの「帰省に際しての悩み」は多く、義実家のみならず実家ともそれが原因で関係に溝が生じたり、疎遠になりかけている人も少なくないようすなのです。
「客用○○」の盲点
「見た目」の綺麗さと、「ダニの有無」は必ずしも一致しません
「片付いていて綺麗な部屋、お客さんしか使っていない新しめの布団、洗濯済みのシーツ」
などで出迎えてくれるわけですが、実はお客さん用だからこそ、そこにダニがたくさん(というのは、天文学的数ということです)潜んでしまっていたり、あるいはかつて潜んでいたその死骸がたくさん残っていたり、その死骸がばらばらになったホコリが付着していたりする……でも、それが分からないのです。
「ダニ(カビ)のいる部屋」というのは、必ずしも見た目「汚い部屋」ではありません。「ダニのいる布団」というのも、必ずしも見た目「不潔な布団」では、ありません。
ダニという虫は、基本的にどんな家にもいます。0.5ミリに満たず、乳白色でホコリとも見分けにくいので、私たちにはなかなか認識しづらいのですが、どんなところにもいます。
どこかしら潜入できる場所(布団や畳、絨毯のほかカーテン、エアコンフィルター、普通の衣類タンスなども)があり、夏場の気候くらいの程よい気温と湿度があり、エサ(カビやホコリ、食べ物カスなど)といった条件が整いさえすれば、爆発的に繁殖もします。ですから、「普段は人のいない客間」「押入の中の客用布団」などは、まさに絶好の繁殖場所と言えます。
ですから、「客用○○」を揃えた心づくしの準備が、裏目に出てしまいやすいということなのです。
よくあるアレルギー対策では不十分なことも
掃除機も、ただ「かけただけ」では、吸い込むべきホコリが吸い込めていないことが多いのです
- 片付いていて綺麗な部屋(普段は使っていない部屋だから散らからないのよ。週に一回は換気してるし。ちょっとカビ臭い? 気のせいでしょう)
- お客さんしか使っていない新しめの布団(買って20年くらいにはなるけど押入に仕舞ってあるから全然傷んでないのよ。アナタ達が来るからって、一日ちゃんと干したから気持ちいいでしょう)
- 洗濯済みのシーツや枕カバー(洗濯して一年しまっておいたのよ)
アレルギーでなければ、それでも十分な対応、準備なのかも知れません。でも、実際「アレルギー反応が出てしまう」のが現状であるならば、やはりそれでは不十分なのです。
「帰省」は実際のところ、行く方も迎える方も大変で、それにこれ以上の対応を求めたり、自分でも講じるというのはなかなか難儀なことだと思います。でも、年に数回しか会えない機会を大事にしたいと思われるならば、ここはお互いのため、ざっくばらんに事情を説明し、理解し受け入れたうえで、できる限りの対策を講じ、安心して過ごせる「帰省」環境を整えたいところです。
帰省する側にできるアレルギー対策
ベビー布団は小さいので、持参することもできる。敷き布団よりも掛け布団の方がより危険
- 自家用車での帰省ならば、「子ども用布団」だけでも持参する(比較的かさばらない。子どもの環境優先)
- 肌に直接触れるシーツ、上掛けだけでも持参する(触れたり吸い込んだりするリスクを減らす)
- ダニ用掃除機を持参する(レイコップなど。帰省したらすぐ、寝る布団を念入りに掃除しておく)
- レンタル布団を手配して、そこで寝る(帰省先の親に、布団干しを頼めない場合)
- 帰省先でも率先して掃除機がけなど行う(帰省先の掃除機が古過ぎる機種の場合、却ってダニを撒いてしまうこともあるので注意)
- マスクをして寝る(アレルゲンの吸入を避けるため)
帰省を受け入れる側にできるアレルギー対策
エアコン内部に発生したカビによる体調不良も軽視できない
- 帰省1ヶ月ほど前のうちに、帰省中寝泊まりさせる部屋にダニ駆除燻煙剤をかけ、よく換気しておく(子どもが化学物質に過敏な場合は逆効果になることもあるので、確認して)
- 帰省中寝泊まりさせる部屋のエアコンのフィルター清掃をし、空運転して内部のカビやホコリもなるべく飛ばしておく
- 帰省中寝泊まりさせる部屋の換気乾燥、掃除機がけを数日前から念入りに行っておく(カビ胞子の浮遊や、ハウスダスト数を可能な限り減らしておく)
- 客用布団は帰省の一週間程度前から、天日干し(布団乾燥機がけ)と掃除機がけを複数回行っておく(ダニは死んでいてもアレルゲンとして強力なので、掃除機で吸っておかないと干すだけでは対応不十分)
- 可能ならば客用布団は、布団クリーニングに出しておく(ダニごと洗浄乾燥できるので、これが一番安心。コストはかかる)
- 枕なども天日干し乾燥、シーツ等は帰省直前に洗濯乾燥しておく(一年前に洗濯したようなシーツにはダニが付いていることもあるので、直前に洗っておいた方が安心)
万が一、アレルギー症状が出てしまったときは「帰省先で喘息などのアレルギーの症状が出たら」の記事を参考にして早めに対処してください。
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