マーケティング/マーケティング事例

成城石井、人気上昇の謎を解く

高級スーパーの代名詞、成城石井。今、成城石井に注目が集まっています。成城石井の好調の秘密は、人気の秘密はなにか?マーケティング視点で解説します。

新井 庸志

執筆者:新井 庸志

マーケティングガイド

成城石井

成城石井

成城石井ブーム到来

成城石井が好調だ。店舗数こそコンビニほど多くはないが、以前から評判の高かった成城石井。スーパーよりは価格は高いがデパートよりは高くない。しかし品質にはこだわりが感じられる。そんなポジションを築いている。

最近、成城石井の人気がさらに上昇している。その裏にあるのは、時代のトレンドをがっちりキャッチした手堅いマーケティングだ。

成城石井のメイン顧客層は女性客、特に若い女性の人気は絶大だ。女性の社会進出が進み、ライフスタイルも多様化している。そんななか女性も男性も家事や育児に割くことが出来る時間は少なくなっている。

結果として、育児であれば託児所、ベビーシッター、保育園を活用する人が増加した。一定期間、夫が主夫になるケースも徐々に見られ始めている。家事に関しては、材料を買い、家で料理をするという時間と労力をなるべく減らしたいというニーズが増えてきた。料理する労力と時間をセーブするために”お惣菜”が重要になってきた。

好調ローソンとの共通点

先日、新浪剛史会長が10月1日よりサントリーHDの社長になることが発表されたローソンも好調だ。2014年3~5月期の連結営業利益は前年比20%程度を超え、4年連続過去最高益となった。好調が続くローソンの中心にあるのも成城石井と同じくお惣菜だ。ゲンコツメンチ、低糖質のパン、鉄分など栄養分の補給が出来るサラダ。お惣菜を店で作り販売している店舗もある。

すでにコンビニにお惣菜があるのはあたりまえになっている。セブンイレブンも、ファミリーマートもお惣菜の充実には力を入れている。また、お惣菜だけでなく、レジ横にはドリップコーヒーのマシンがあることもあたりまえになっている。

お惣菜があることだけで差別化出来る時代は過ぎつつある。これからは「どんな魅力的なお惣菜があるか?」ということが消費者視点に立ったときの差別化ポイントの一つになる。

成城石井がコンビニに負けない理由1:商品

成城石井のメイン商品は、お惣菜やお弁当、外国製を中心とした菓子、調味料、ワインなどだ。お惣菜やお弁当などは美味しいだけでなく、オシャレ感が感じられる。コンビニのお惣菜も好調だが、成城石井がコンビニよりも強いのは「コンビニよりもオシャレなお惣菜」というイメージを持っていることだ。

いそがしい女性が増えている中で、店舗数の多いコンビニのお惣菜やお弁当でランチを済ます人も増えている。日常的に同じような味、雰囲気のものばかり食べれば、心身ともに疲れてしまうこともある。毎週のように同じようなコンビニのお惣菜では心身ともに疲れてしまうこともある。

成城石井ならそんな心配もしなくていい。自社オリジナル商品が300種類以上、お惣菜は100種類以上。人気の商品もソーセージ、グラタン、イタリアパルマ産生ハム。どれも他の店では買うことのできないものであり、バラエティにも富んでいる。飽きさせない仕組みも整っているのだ。

成城石井がコンビニに負けない理由2:立地

成城石井の店舗数は100店舗以上だが、そのほとんどは都市部近郊だ。コンビニが地方のすみずみまで店舗数を拡大する一方、成城石井の店舗は都市部に集中している。地方よりも都市部の方がお惣菜を購入する人たちのニーズは高い。コンビニよりも店舗数は少ないが出店場所を絞り込んでいることは成城石井の強みだ。この結果、成城石井の利益率はコンビニよりも高い。獲得した利益でオリジナル商品やお惣菜の開発への投資をさらに進めているのだ。

「商品×立地」=お惣菜

どこで、誰に、何を売るか?
マーケティングの基本要素はいくつかあるが、その中で5W1Hは重要だ。成城石井はマーケティングの基本中の基本を抑えているから。だからブレることなく好調を続けているのだ。その中心にあるのが「何を」にあたるものが「お惣菜」なのだ。「お惣菜」トレンドは、これからますます高まっていく。成城石井の好調ぶりはまだまだ続くことは間違いない。
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