「廚 菓子 くろぎ(くりや かし くろぎ)」
東京大学構内で営業している「廚 菓子 くろぎ」。当初、オープンの噂を耳にしたときは、スケールの大きなコラボレーションにワクワクしました。なかなか予約が取れない東京・湯島の割烹、本家「くろぎ」の店主、黒木純さんによる「作り立ての和菓子」と、東京・恵比寿の「猿田彦珈琲」代表の大塚朝之さんによる「コーヒー」の競演が楽しめます。「廚 菓子 くろぎ」が、 東京大学本郷キャンパスの春日門側の施設、ダイワユビキタス学術研究館1階にオープンしたのは2014年5月。
和食界を代表する若手、黒木純さんによる新店で、くろぎ流の「和菓子」と、スペシャルティコーヒー専門店、猿田彦珈琲の「和菓子に合う日本のコーヒー」が楽しめるカフェです。
建物は、東京大学教授で著名な建築家の隈研吾氏が手掛けたもの。東側壁面は杉板で覆われ柔らかな表情です。
作り立ての「蕨もち(わらびもち)」!手土産用の「まゆら」も人気
店内メニューとお土産メニューの両方に載る「蕨もち(わらびもち)」。ワラビの根を原料とする蕨粉(わらびこ)は、作るのに大変な手間暇がかかる希少価値の高い素材。「わらびもち」の名で販売されていても、実際に「本蕨粉」(蕨粉100%)だけで作られたものは、ごくわずかしかありません。
店内で食べられるのは、本蕨粉で煉り上げた作り立て。伸びがよくとろんとしつつもプルリとした弾力があるのはしっかりと煉られた証。本蕨粉特有の艶やかな黒色と野趣ある香りが貴重です。
本家「くろぎ」でも人気の高い甘味ですが、本家では予めきな粉をかけて供されるのに対し、こちらでは氷水に取ったばかりのものがそのまま運ばれてきます。別添えのきな粉や抹茶きな粉、黒蜜をかける前の素の味わいもぜひお試しを。
合わせたのは「絹しずく 淡口」の水出しのアイスコーヒー。澄んだ甘味と酸味が涼やかにのどを通り、蕨もちの滑らかさが際立ちます。上質なコーヒーの酸味は、和菓子の甘さを引き立てると知りました。
なお、お土産用の蕨もち「まゆら」(予約は前日16時まで。4000円(税込))は店内用とは配合が異なり、蕨もちは黒蜜に浸かっています。蜜と蕨もちの糖度を合わせることで、翌日まで食感が保たれるのだそうです。「蜜に浸ける」という言葉から想像したものより柔らかな甘さです。