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麿赤兒 天賦典式公演『ムシノホシ』インタビュー!(6ページ目)

麿赤兒率いる大駱駝艦が、二年ぶりとなる天賦典式公演『ムシノホシ』を敢行! 麿赤兒を筆頭に、総勢21名の舞踏家を引き連れ新たな荒海を目指します。ここでは、開幕に先駆け創作にあたる麿赤兒さんにインタビュー! 作品に寄せる想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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大駱駝艦は従来のファンはもちろん、若い世代やダンスファン以外の心も新たに掴み続けていますね。その理由をどう考えますか?

麿>どの世代もやっぱりどこかで感じる部分を持っていて、その持ってるものに共通性があると思うんですよね。世の中にセンサーを張れば張るほど、逆に怖くなる部分はある。危ないぞとか、不安になる部分があって、それを感知してるひとの共通項じゃないかと思う。

若いひとはむしろ、我々よりも感じてるんじゃないかなって気がします。電脳のなんたるかを知れば知るほど、技術の発展もあると同時に、そこに対するひとつの疑問というのが生まれてくる。そこには当然、反比例する力が働いている訳ですから。どちらかというと、何も考えずにどんどん行くひとはあまり僕らに興味を持たないだろうな、という感じはありますよね。

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2011年『灰の人』 撮影:松田純一


大駱駝艦を結成して40年以上。着実に歴史を重ねてきた中で、
変わった部分、変わらないと感じる部分とは?

麿>自分の中では特にないというか、意識的には変わってないんですよね。ある時期から、身体の存在とは何か? 身体っていうのは何を表現しようとしてるんだ? という方向に行った。だから見てくれとしては変わったかもしれないけれど、どれだけオリジンに迫っていくか、古層に迫っていくか、という部分は漠然としながらもあって。

土俗的なものだとか、縄文だとか、古層へ、古層へと迫ってゆく。やがて石器時代までいくと、生き物全て同じじゃないかっていうことになる。その存在たらしめてるもの、生物を生物たらしめているものは何だろうって考えて、ウイルスに行っちゃった。その面白さに自分で酔っ払い過ぎちゃって、一番の古層だろうというところへ行ってしまった。でもウイルスは古過ぎたので、またムシに戻ってきたり。ウイルスまで行ったら後はもう何もない、行き過ぎちゃったな、もう少し間があっても良かったなと(笑)。

ひとって何なんだろう、何故こういうことになっちゃったんだろうーー、っていう想いはずっとある。DNAの運び屋にすぎないという見方もあって、一生懸命運んでいるんだけど、どうも足下が浮ついてる感じがするなとか……。環境問題とかいろいろな問題があって、じゃあそれをどういう風に修正するか。今進んでる方向がおかしいのはわかってる。おかしいけど、どうしようもないんだってみんな思ってる。世界中からコンピューターがバン! となくなるようなこともあり得るかもしれないし、何もないところでコツコツやった方が楽しいんじゃないの? とか、いろいろ考えるものはある。全ては人間という存在に対する興味であって、その想いが尽きることはない。そこはずっと、変わらない部分ではありますよね。

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撮影:荒木経惟 撮影空間:インターメディアテク(デザイン(C)UMUT)



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