部下に自由にさせるとき、OBラインは設定すべき?


スーツ姿の部下

無意識にスーツ姿の部下を「いい部下」と思っていませんか?

オフィスにTシャツ、デニムで出社。仕事中にヘッドフォンで音楽を聴き、呼んでもすぐに返事をしない……。こんな部下がいたら、あなたはどうしますか? IT企業など新興企業は別として、伝統的な日本企業だとしたら、たいていすぐに注意するでしょう。スーツにネクタイ着用、呼べば「はい」と言ってすぐに寄ってくる部下を、「いい部下」と無意識のうちに思っているのではないでしょうか。

早稲田大学ラグビー蹴球部やU20(20歳以下)日本代表チームの監督時代、「選手にたいていのことは任せ、自由にさせています」と企業の方に話すと、「でも、何をしてもいい、ではないですよね?」と質問されることがありました。

もちろん、チームとして「推奨する行動」、つまり、フェアウェイはありました。もしそうでなければ選手は「すべきこと」と「すべきではないこと」の判断ができないからです。ただし、フェアウェイであれば全部OK、逆にOBラインの外は絶対ダメというのはナンセンスです(もちろん、暴力やうわさ話など、どんな理由でも“絶対OB”はありましたが)。それは、なぜでしょうか。

「フェアウェイだからいい」という安易さのほうが問題


たとえば、選手が不調のとき、それぞれどう過ごすか。「筋トレに専念します」。「ビデオでラグビーを学びます」。これらは、模範回答であり、フェアウェイです。しかし、「ぜんぜん関係ない本や映画三昧で過ごします」と、一見、フェアウェイから外れた回答をする選手もいます。会社で言えば、仕事で成果が出ないときに「先輩から学びます」「スキルアップに努めます」ではなく、「休みを取って旅行に行ってきます」と言うようなものです。さて、あなたはどうしますか?

「本を読んだり、映画を観て過ごしたい」と答えた選手によくよく話を聞いてみました。すると、「ラグビーのことしか知らなかったから、いい機会だし、いろんな考え方を学びたい」と言います。確かに、人としての成長が、ラグビー選手としていい影響をもたらさないはずはありません。だから、一見、フェアウェイから外れている過ごし方でも、理由に納得できれば、私は何も口を出しませんでした。

私にとって大事なことは、「なぜそうするのか」。その行動を部下が取る理由が、最終的に部下の成果や成長に寄与するのか、です。フェアウェイであっても、浅はかな考えにしか基づいていない場合もあります。「フェアウェイを言っておけば問題ないだろう」と、何も考えずに行動している場合もあるでしょう。そのほうがずっと、問題です。

では、最初の問いに戻りましょう。Tシャツにデニムで出社した部下を、上司はどうすべきでしょうか?