中途半端な「任せ方」が「指示待ち人間」の大量生産に!
中途半端な任せ方、していませんか
指導者はその通り、任せてみるそうです。しかし、あとで聞いてみると、「選手は右往左往しているだけで、自分で考えないんだよ」と不満げです。
「何を任せたんですか?」と私が聞くと、たいてい「全部」という答えが返ってきます。「で、できなかったんですよね? どうしたんですか?」と聞くと、「できないから、1つひとつ指示したよ」と言うのです。
「任せる→できないからイライラして指示する」。この図式が多くの現場で起こっています。それは「任せたって言ったくせに、結局、指示するんじゃないか」という任された側の不満につながり、「だったら指示を待った方が早い」ということになります。つまり、「指示待ち人間の大量生産」につながるのです。
「じゃあ、ただ何もしない部下を、手をこまねいていればいいのか」という反論も聞こえてきます。確かにそうです。リーダーが現場を預かるということはきれいごとではなく、成果を出さなければならないからです。では、どうすればいいでしょうか?
目的が自律の向上ならば、上司が手を出した時点で「失敗」
任せる側があらためて考えなければならないのは、なぜ、任せるのかです。人手が足りないから任せる、業務を速やかに遂行することを目的とするならば、「その職務をやり遂げる能力とスキルを持つ人」に任せるべきです。極端な話、アウトソーシングでもいいことになります。しかし、今回のテーマでは、「部下の自律性を高める」ことが目的です。その裏側には、「自律性のない(低い)部下の自律性を高める」というニュアンスがあります。ですから、「任せてもスムーズにできなくて当たり前」という意識を任せる側が持たなければなりません。
また、目的が「自律性を高める」ことだとしたら、上司としての「成果」は、「部下がその仕事ができたかどうか」ではなく、「自ら考え行動したかどうか」になるはずです。ならば、上司が我慢しきれず、指示を出した時点で「失敗」です。何が上司としての成果なのか、取り違えてはならないのです。
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