「任せる」=「丸投げ」ではない

任せるバリエーションを考えましょう

任せるバリエーションを考えましょう

一方で、「いつまでも動き始めない部下、できない部下を放っておくかどうか」問題があります。顧客や他部署のことを考えれば、仕事を放置しておくわけにはいきません。それは「任せ方」によって解消されます。

前で登場したラグビーの指導者たちもそうですが、「任せる」=「丸投げ」と思っている上司は少なくありません。そしてできなければ「1つひとつ指示を出す」完全管理に走りがちです。実際には、この間に「サブゴールまで任せる」「全体の中の一部だけ任せる」など、バリエーションがあるにもかかわらず……。

単純な話ですが、同じ仕事を任せたにしても、人によってそれはとても難しいものだし、人によっては容易です。そして、ある人にとっては成長のチャンスになっても、ある人にとっては時間の無駄、ということも……。目的や相手によって、「任せる」バリエーションを考えなければ、期待するような効果は得られません。「任せる」=「丸投げ」ではないことを理解して任せることが重要です。


「任せ方」の決め方は、「誰に」「何を」「どのように」

では、任せ方をどう決めるのか。ポイントことは、結局、「誰に」「何を」「どのように」任せるか、言い換えれば「誰」の自律性を高めるために、「何を」「どのように任せるか」です。

「誰に」は、個人の場合、チームの場合があります。いずれにしても、上司は任せる相手によって、どう任せるのか、どのように任せるのかを決めていきます。

例でお話ししましょう。早稲田のラグビー蹴球部では、志望する高校生を招いて春、夏に1泊2日のスクールを開催します。このスクールの企画運営を基本的に選手たちに任せていました。スクール終了後、多くの力のある高校生たちが、他の強豪校を差し置いて「絶対、早稲田に来たい」と感じてくれるなど、とてもいい場になっていました。

任せ方はさまざまです。私の場合は、リーダーたちの自律性をより高めたかったので、リーダーたちにゴールを伝え、企画運営のすべてを任せます。そして、基本的には口出しせず、彼らの自由な発想と行動を妨げないようにしていました。結果、リーダーたちが自律的に動き、スクールの成功に大きく貢献してくれました。


「何を」「どのように」は、任せる相手の力量次第

一方、たとえばこれが、下級生も含めて、選手全員の自律性を高めようとするならば、全体の進捗管理チーム、練習メニューの企画運営チーム、懇親会の企画運営チームなどに細分化し、それぞれゴールを与えて、全員がきちんと参加しなければ回らない状態を作ったでしょう。あるいは、失敗経験から学んでほしいのであれば、とうてい達成の難しいゴールだけを与えることが有効な場合もあります。

どの程度任せるかも、場合によります。「任せた」と言ったら、何もしないのが前提です。しかし、「結論を出す前に相談に来て」とか、「本当に壁にぶつかったら相談して」もありだと思います。任せる相手の力量に合わせて考える必要があるでしょう。

まとめます。「任せる」ということは、「丸投げ」ではありません。「目的」によって、「誰に」「何を」「どのように」任せるのか、きちんと決められれば必ず成果はあります。任せるときのメソッドを、「WHY(目的)」「WHO(誰に)」「WHAT(何)」「HOW(どのように、どの程度)」の頭文字を取って、「3W1H」と覚えておきましょう。


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