起業・会社設立のノウハウ

円満退職だと起業に成功しやすいワケ

社長や上司とモメて不満を持ち、それがきっかけとなって起業に踏み切るケースがあります。ただ、そのような事情で起業するにしても、後に悪い影響を残さないためにも、できれば円満退職しておきたいもの。さらに一歩進んで、起業で成功する人は、前職とも良い関係を保ちつつ起業できる人が大半です。今回は、起業の成功と円満退職について見ていきましょう。

中野 裕哲

執筆者:中野 裕哲

起業・独立のノウハウガイド

円満退職しないと何が問題か

起業するなら、円満退職しておきたいですね

起業するなら、円満退職しておきたいですね

起業にいたるまでの経緯や事情は人それぞれ。日々の起業相談の中で、さまざまな人生の転換点に立ち会います。中でもよくあるのが、社長や上司とモメていて、それが原因で起業に踏み切ろうとしているケース。ただ、こうした場合、きちんと和解をしておかないと、起業後にいろいろと苦労することもあります。逆に円満退職ができる人は起業に成功する可能性といえます。今回は、円満退職と起業の成功の関係についてみていきましょう。

「円満退職なんてしなくても、どうせ辞める会社でしょ。どんな辞め方をしたって関係ないよ」。「これから同じ業界でしのぎを削るのだから、ケンカ別れだって仕方ない」。そんな考え方だってあるかもしれません。ただ、これから経営者としてやっていく上ではそうもいかないですよ。円満退職せずに起業した場合、以下のような問題が生じる可能性があります。

■信用の問題
業界は狭いもの。誰も見ていないと思っても、あなたの行動を、見る人は見ています。退職するとさんざんモメて、しかも不義理な行いをしてしまったらとしたら。業界内で、周囲からの冷たい視線を感じながら商売を立ち上げることになってしまいます。立つ鳥跡を濁さず。心がけたいですね。

■大事な時期での時間的なロス
会社から何らかの恨みを買い、法的な問題で訴訟を起こされることも想定されます。もしそんなことになってしまえば、裁判に向けて膨大な時間と費用が掛かってしまいます。しかも、起業当初の大事な時期。本来、するべきことは、1日でも早く、1円でも多く、売上を上げることなのに、そうした後ろ向きなことに時間と労力を使わなければならないのです。大事な時期に足を引っぱられないためにも、法的リスクが少ない手段で、慎重かつ大人な対応が求められます。

■金融機関からの目線

円満退職ではないということについて、金融機関も敏感に反応します。過去の業績をもとにした融資判断ができない創業融資の世界では、起業家自身の人間性が審査での大きなウェイトを占めるからです。極論からいうと、事業計画書にどんなにいいことが書いてあっても、人物的に問題があれば、審査は通りません。金融機関からどんな風に見られるか、そのこともよく意識しておきましょう。

退職時にやってはいけない3つのこと

では、円満退職するために、やってはいけないのはどんなことでしょうか。主な3つの事例を見ていきましょう。

1. 人の引き抜き

「○○さんが退職するなら、私もついていきます!!」。部下や後輩も一緒に会社を辞めて新会社に合流してくれる。よくあるケースですよね。非常にうれしいことですが、やり方によっては会社から訴えられる可能性だってあります。

例えば、全員分の辞表をとりまとめて、社長にたたきつける。これが一番やってはいけないことです。起業後に人の穴埋めに掛かった費用について損害賠償請求されたケースもあります。細心の注意で臨むべきです。

2. 取引先を強引に奪う
いくら自由競争とはいえ、あからさまで強引な手段で取引先を奪えば、恨みを買います。例えば、取引先に会社の悪口をいって、こちら側になびかせるなんてことは一番ダメです。分別をもった行動が必要です。

3. 技術や顧客リストを持ち出す
これは当然ですよね。あきらかに犯罪です。正確にいうと不正の利益を得る目的や営業秘密の保有者に損害を加える目的で、営業秘密を使用したり開示したりすれば、不正競争として不正競争防止法に違反する可能性があります。
 

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