ストレス/家庭・育児・嫁姑・義理づきあいのストレス

感情的になる子に必要な「大人の対応」とは?

幼い子どもは、好奇心いっぱいで何でもやりたがる一方で、怒ると手がつけられなかったり、ささいなことに怯えたり、不安になったりと、激しい感情に揺り動かされます。そんな感情的な子どもたちが、冷静に物事を考えられる子に育っていくために必要な「大人の対応」とは?

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

幼い子どもの心は不安でいっぱい!

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不安な気持ちに振り回されてしまうのが幼い子ども

幼い子どもは、新しいことを見たい、知りたいという「好奇心」のかたまり。同時に、「不安」のかたまりでもあります。面白そうな物を見て駆け出したと思ったら、ふっと不安になって、お母さんの姿を探して振り返る。初めて行く場所に興味を持つ一方で、ちょっと怖い目にあうと、手がつけられないほど泣きだしたりもします。

こうした不安は、世の中をよく知らず、経験が少ないことだけが原因ではありません。幼い子どもの脳は発展途上の状態にあり、大人のように物事を柔軟に考える力が育っていないからでもあるのです。

新年度に幼稚園に入園した子は、「ここはいや!」と不安になって泣き叫びます。知らないおじさんにあいさつされると、怖くなってお母さんの後ろに隠れます。大人だって、新しい場所には不安を感じますし、知らない人には警戒しますよね。でも、大人には物事を理性的に考えることができるので、「不安なのは最初だけで、慣れれば楽しくなるかもね」「まずは話を聞いてみよう」などと、合理的に考え直すことができます。

このように、不安を感じたときに、いったん冷静になって考え直すような柔軟な思考は、ある程度成長していないと、発揮できるようにならないのです。

「ものの道理」が分かるのは幼児期後期から

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幼児期でも、幼いうちは感情に振り回されっぱなし

物事を柔軟に考えられるのは、理性が活発に働いているため。理性があるからこそ、私たちは人と穏やかにコミュニケーションをとり、相手の気持ちや道徳を理解し、すぐに逃げ出したり攻撃したりせず、冷静になって考え直すような人間らしい行動をとれるようになります。

こうした理性は、幼児期後期頃から育っていきますが、本格的に発揮できるようになるのは、せいぜい学齢期に入ってからです。

一方、幼児期前期までの子どもは、欲しいものを見ればすぐに手を出し、イヤなことにはひっくり返って抵抗し、怖いと思うと泣き叫んで逃げます。このように、原始的な欲望や衝動に突き動かされて、感情を所構わず露わにするのがこの時期の子どもです。これは、脳が発展途上であり、状況に応じて我慢したり、立ち止まって考え直したり、といった理性的な対応がまだできないからなのです。

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