20年に渡りコンテンポラリー・ダンス界を牽引
『排気口』(C)青木司
「反響はすごかったです。変装してるつもりだったけど、動きでわかったっていう人は多かったですね(笑)」
当初は期間限定で流される予定だったが、好評につき延長が決定。
CMの影響力は絶大で、井手さんの両親も、“あれ、あんた?”と気付いたとか。
「親はずっと、舞台の裏方かマネージャーかなんかをしてると思ってた。
そこでようやく踊ってる人だったんだってわかったみたい(笑)」
井手孤独【idésolo】
(C)青木司
「いわゆるダンサー体型じゃない、こういう演者がいてもいいんじゃないかと思ってるし、それで売ってるというのもちょっとある。といっても、痩せれはしないけど(笑)。お酒をよく飲むので、たぶんビール太り。稽古が終わってひと汗かいて、ビールを飲むのが最高の楽しみ(笑)」
イデビアンを結成して20年以上、イデビアン・クルーになり20年近く。当初のメンバーも、まだカンパニーに残っている。
「なんか続いてますけどね。続けることってすごく大変なんだけど、自分自身これしかやれることがなくなっちゃってるので、これしか取り柄がないんだろうなって思う。僕のファンタジーなんだけど、ものすごく素晴ら しいものを目標としてる訳ではなくて、ちょっと“クスッ”っていうのが共感できればなっていう気持ちがあって。だから“踊りの公演を観に行くぞ!”っ て意識で来られると、ごめんなさいって謝るしかないんですけど(笑)」
イデビアン・クルー結成の頃
多忙な創作活動の中で、井手さんがやり甲斐を感じる部分とは?
「メッセージ性は強くないけど、自分の表現したいと思ったものを初めてひとに見せた瞬間はすごくやり甲斐を感じます。でもやり甲斐より、ずっと不満の方が続いてる。自分はこういうことをやりたかった、表現したかったんだけど、いざやってみると“あ、これじゃなかったな”とか、次にやると“あ、これでもないな”とか、なんだかまだ目的地まで行ってないような気がするんです。どこかできっと、満足はしてないんでしょうね。だから続けてる、っていうのもあるのかなって思います」
井手孤独【idésolo】(C)青木司