不妊治療には100万円以上もかかる?

ある調査によると、不妊治療をしている人の半数以上が治療費に100万円以上かかっているとのことです。不妊治療の平均的な期間は2~5年。

時間とお金のかかりがちな不妊治療ですが、不妊治療のために会社を退職した方は2割にも及ぶということです。ただし、不妊治療と仕事の両立しやすいように制度を整える会社も増えています。

相談先の医療機関や治療段階によって不妊治療費も異なりますが、どのくらいかかるか目安を確認してみましょう。

不妊治療の相談先は、個人病院、大学・総合病院、不妊専門クリニックなどいろいろあります。周囲に病院がたくさんある環境なら、通いやすさや医師との相性なども考慮したり、地域の不妊専門相談センターを利用したりしてもいいでしょう。

特定不妊治療(体外受精や顕微授精)に備え、指定医療機関で治療すると、国や自治体から助成を受けられることがあります。

また国の助成金が縮小される中、金融庁に促されて、平成28年10月に民間保険会社から初の不妊治療保険が発売される予定です。

健康保険が使える検査・治療とは

同じように感じられる検査(例えば採血など)でも、内容によって健康保険が使える場合と使えない場合があるようです。健康保険が使える場合の自己負担額はどのくらいになるのでしょう?

■問診・指導
医師が治療歴や生活状態を聞き、基礎体温の測り方などを指導します。費用は約1000~約3000円。他に初診料がかかることもあります。

■基礎検査
【超音波検査】
内診して子宮や卵巣に異常がないか、超音波で調べます。卵胞のサイズや数も確認し、排卵チェックを行います。費用は約1000~約3000円です。

【血中ホルモン値測定検査】
排卵前と排卵後、月経中と異なる時期に通常3回採血して女性ホルモンの値などを調べます。採血1回につき、健康保険適用で約1000円~約3000円です。

【フーナーテスト】
排卵日の性交渉後、子宮の粘液を調べて精子数などを調べます。費用は約1000~約2000円です。

【クラミジア検査】
卵管閉塞などを引き起こすクラミジア感染の有無を調べる必須の検査です。健康保険適用の場合だと約1000円ですが、健康保険適用外だと約5000円です。

【精液検査】

男性の精液に含まれる精子の数や運動状態などを調べます。費用は健康保険適用されると約1000~約3000円です。健康保険が適用されない場合で約5000~約1万円です。

男性不妊治療の費用についても、国で助成しています。三重県、福井県、大分県、京都府、山形県、東京都、静岡県など男性不妊治療の助成を行っている自治体も増加しています。

【子宮卵管造影検査】
エックス線撮影をして卵管に詰まりがないかを調べる検査です。費用は約3000~約5000円です。

【子宮鏡検査】
超音波検査で子宮内に異常が疑われる場合に行われ、ポリープや筋腫の有無や状態を確認します。健康保険適用で費用は約4000円です。

上記の基礎検査は病院によっても異なり、合計約1万5000~約4万円です。ちなみに男性の精液検査を早めにすると、女性の検査が少なくなる場合があり、不妊治療費抑制につながるようです。

■治療
【タイミング療法(指導)
基礎体温や超音波検査などを参考に、妊娠しやすい排卵日を正確に測定し、性交渉のタイミングを指導されます。1回で約2000~約3000円です。

【人工授精に係る診察、検査、注射、薬
健康保険適用で1回の診察に約2000~約3000円です。

■薬
・排卵誘発剤
タイミング療法(指導)や人工授精で使われる場合は、健康保険適用だで費用は1カ月で約3000円です。段階によっては、注射で接種することもあり、その場合は健康保険適用でも1回約5000~約1万3000円です。体外受精で排卵誘発剤などが使われる場合は、健康保険が使えません。副作用で入院することもたまにあるようです。

・漢方薬

健康保険適用で約1000円から、健康保険が使えない場合で約3万円です。

参考:妊娠・出産でも健康保険が使えるケースとは?

健康保険が使えない検査・治療とは

不妊治療には健康保険が使えない治療や検査も多く、それが治療費の負担を押し上げています。

■検査
【抗精子抗体検査】
フーナーテストの結果により、抗精子抗体が女性の体にあるか調べる採血検査です。費用は約5000円~約1万円です。

【腹腔鏡検査】
内視鏡を使い、女性のお腹の中の様子を観察する検査です。通常2日間入院ですが、そのまま手術になった場合1週間ほどかかることも。費用は約10万円です。

■治療
【人工授精】
採取した精子を人工授精用の注射で子宮内に注入します。診察、検査や薬には健康保険が使えますが、人工授精治療そのものは健康保険が使えないのです。費用は1回で約1万~約3万円です。

【体外受精】
培養液中で精子と卵子を受精させて受精卵をつくり、子宮に戻して着床させます。費用は1回で約20万~約80万円です。体外受精そのものの費用だけではなく、体外受精に係る診察、注射、検査、薬なども健康保険が使えず、全額自己負担になるので、診察を受けるたび自費で(10万円以上のことも)支払わなくてはなりません。

【顕微授精】
体外受精の一種で、精子の運動率が悪い場合に行います。体外受精の費用にプラス約5万~約10万円上乗せされるそうです。費用は1回で約30万~約90万円です。

妊娠率は、病院や計算方法によっても異なりますが、日本産婦人科学会によると体外受精や顕微授精で20%弱ほどです。必ず妊娠するわけではありません。

■手術

【精巣の切開手術】
男性の無精子症などの場合、精子の確認をします。健康保険適用外で1回約20万~約50万円です。

【卵管鏡下卵管形成術】
卵管が詰まっていたり、細かった場合に卵管を広げる手術。費用は約10万円です。

代理出産や卵子提供、卵子凍結などの費用は?

代理出産や卵子提供などは現在、日本には定めた法律がなく、日本産婦人科学会では認めていないのですが、日本でも条件付きで認める法律が国会で論議されそうです。例えば海外などで代理出産や卵子提供を行った場合では、費用はどのくらいかかるのでしょう?

■代理出産
妻の卵子と夫の精子を体外受精し、得られた受精卵を、代理母の子宮に移植し、妊娠・出産を試みる方法です。米国での代理出産は約2000万~約3000万円、インドでの代理出産は約390万~約730万円です。

■卵子提供
卵子提供者(エッグドナ-)から卵子の提供を受け、夫の精子と体外受精を行った後、妻の子宮に受精卵(胚)を移植し、妻が妊娠、出産し子どもを授かる方法です。米国だと費用は約380万~約550万円、台湾は約85万~約90万円、タイは約138万~約200万円、インドは約300万円です。

■卵子凍結
日本生殖医学会は、2013年11月に成人した女性が将来のために若いときの卵子を凍結することを容認する指針を出しました。卵子凍結は、婦人科の初診~採卵~凍結保管までに卵子10個で約85万円(うち卵子凍結と1年間保管費用が24万円 卵子1個あたり1万500円)です。2年目以降は卵子10個で10万5000円(1年間)の保管料がかかります。

最近では、卵子凍結費用を補助する自治体や企業が少数ですが出てきているので、お住いの自治体で補助していないか確認してみましょう。

上記の費用の他に、海外で行う場合は、現地に出向く交通費やホテル代などを負担することになります。海外で代理出産や卵子提供などを行った場合、日本との健康保険の違いなども考慮に入れる必要があります。為替レートなどによっても費用が異なってくる点も注意が必要です。

妊娠を考え、不妊治療を検討した時は、夫婦で良く相談し、治療年数と治療費の上限額を大まかに決めておいたほうがいいでしょう。治療を辞めたけれど妊娠した……という話も時折聞くからです。

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