特定不妊治療にかかる費用を助成する「特定不妊治療支援事業」

100万円以上かかるともいわれる不妊治療費。負担を和らげるためにも、国や自治体の助成を知っておこう

100万円以上かかるともいわれる不妊治療費。負担を和らげるためにも、国や自治体の助成を知っておこう

体外受精や顕微授精などの「特定不妊治療」は、健康保険が使えません。医療費は高額になりますが、健康保険に高額療養費として申請することができないのです。

そこで、国では特定不妊治療支援事業を行っており(窓口は市区町村)、高額な医療費のかかる体外受精や顕微授精に要する費用の一部に助成金を支給しています。特定不妊治療には代理出産や卵子提供などは含まれません。

特定不妊治療支援事業の対象者は「法律上の夫婦」

特定不妊治療支援の対象者は「法律上の婚姻をしている夫婦」とされます。2014年(平成26年)2月に厚生労働省から、この「法律上の婚姻をしている夫婦」について、「治療開始時に法律上の婚姻をしている夫婦」と解釈が出されました。

東京都も国に追随し、2014年(平成26年)4月1日以降に開始した治療から「治療開始時に法律上の婚姻をしている夫婦」(2014年3月31日までの治療は「申請時に法律上の婚姻をしている夫婦」)になりました。他の自治体も追随したところが多かったのです。申請窓口であるお住まいの市区町村役場(保健センターや保健所)に確認してみましょう。

「体外受精や顕微授精等の特定不妊治療は、法律婚の夫婦だけができる」という指針を日本産婦人科学会が見直ししています。ですが、今のところ事実婚の夫婦は体外受精や顕微授精を行っても、国の特定不妊治療助成金の対象者ではありません。独自の助成を行う自治体でも事実上の夫婦に助成金を支払う自治体はまだ少数です。

ただし最近は国でも事実婚夫婦の不妊治療にも目を向けており、厚生労働省では平成29年7月の有識者会議で、事実婚夫婦を特定不妊治療助成金の対象とするか等を検討する話し合いが行われました。

所得制限や医療機関の指定もあり

また、国では夫婦合算で730万円未満の所得なら助成する、という所得制限があります。これは夫婦合算の所得(収入から社会保険料や基礎控除や配偶者控除、扶養控除など差し引いた額)で730万円であり、収入ではありません。夫婦合算年収1000万円くらいまでなら、特定不妊治療の助成金対象者になり得るので、お住まいの自治体に確認してみましょう。

特定不妊治療助成金を受給するには、指定医療機関で治療していなければなりません。都道府県ごとまたは、市区町村ごとに異なることがあるので、自治体にも確認してみましょう。健康保険制度に加入し、申請する自治体の住民税を滞納していないこと、という要件もあります。

平成28年度からの国の特定不妊治療支援助成金

下図は、国の特定不妊治療助成制度をまとめたものです。
新特定不妊治療助成

平成28年4月からの特定不妊治療助成


国の特定不妊治療助成は、2016(平成28)年度以降に不妊治療を始める場合は、妻が43歳未満、助成回数は6回までとなりました。助成は縮小したかに見えますが、男性不妊を特定不妊治療とともに行う場合は助成対象に加えました。

自治体で独自の助成を行っているところもあります(後述)。しかし国が助成金を減額(15万円→7.5万円)した治療段階(凍結胚移植などの採卵を伴わないもの)では、多くの自治体が追随して減額していました。男性不妊の追加や年齢制限、回数制限については多くの自治体が追随しました。

次のページでは、特定不妊治療支援助成金を受給するための手続きや、自治体が独自に行っている助成金について解説します。