出産・育児費用/出産・育児を助ける各種制度

不妊治療費用の助成制度とは?助成額や注意点

不妊治療は費用もかかり、体への負担も軽くはありません。経済的な負担の一部を軽減してくれる助成金がもらえる制度があります。厚生労働省の特定不妊治療支援事業や東京都の特定不妊治療費助成について解説します。助成額や申請方法について解説します。

豊田 眞弓

執筆者:豊田 眞弓

教育費 ・ 奨学金ガイド

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<目次>
  • 不妊治療費用の助成制度は、住んでいる自治体の制度も確認を
  • 不妊治療には多額の費用がかかる
  • 厚生労働省の特定不妊治療支援事業
  • 東京都の特定不妊治療費助成
  • 不妊治療中は医療保険に入れません
  • ゆったり気分で!
 

不妊治療費用の助成制度は、住んでいる自治体の制度も確認を

不妊治療は費用もかかり、体への負担も軽くはありません。経済的な負担の一部を軽減してくれる助成制度があります。実際には自治体によって一部制度が異なる場合もありますので、お住まいの自治体の制度を確認してください。
 
不妊治療の経済的負担を助ける制度

不妊治療の経済的負担を助ける制度

 

不妊治療には多額の費用がかかる

不妊治療の検査や治療の中にも、健康保険の対象になるものとならないものがあります。保険対象の検査法、治療法かどうかで治療費は大きく異なります。

保険対象外の治療は自由診療となり、医療機関によって検査費や治療費に差があります。保険適用外の治療法には助成対象のものもありますが、その場合も、国の指定を受けている機関でないと、助成を受けることができません。

不妊治療において、保険の対象にならない治療法には、「高度不妊治療」と言われる体外受精や顕微授精があります。保険がきかないため、たとえば体外受精の例で1回当たり20万~50万円の費用がかかります。

経済的にも大きな負担であるのは確かで、全額ではないものの、助成制度は大きな助けになるでしょう。
 

厚生労働省の特定不妊治療支援事業

厚生労働省では、以前より不妊治療支援事業を打ち出しています。平成28年4月以降、内容が変更されました。

事業主体はあくまでも地方自治体で、厚生労働省は事業費用を補助するだけのため、実際には下記の内容と異なる場合もあります。

<厚生労働省の特定不妊治療支援事業の概要>
●対象治療法
体外受精と顕微授精(特定不妊治療)

●助成の対象者
(1)特定不妊治療以外の治療法によっては妊娠の見込みがない、または極めて少ないと医師に診断された法律上の婚姻をしている夫婦が、指定医療機関で特定不妊治療を受けた場合
(2)治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満である夫婦

●給付内容
(1)1回の治療につき15万円まで(採卵を伴わない凍結胚移植等は7.5万円まで)通算助成回数は、初めて助成を受けた際の治療期間の初日における妻の年齢が40歳未満であるときは6回(40歳以上であるときは通算3回)まで。ただし、平成25年度以前から本事業による特定不妊治療の助成を受けている夫婦で、平成27年度までに通算5年間助成を受けている場合には助成しない。

(2) (1)のうち初回の治療に限り30万円まで助成[凍結胚移植(採卵を伴わないもの)等は除く]

(3)  特定不妊治療のうち精子を精巣又は精巣上体から採取するための手術を行った場合は、(1)と(2)のほか、1回の治療につき15万円まで助成[凍結杯移植(採卵を伴わないもの)は除く]

●所得制限額
730万円(夫婦合算の所得ベース)

●指定医療施設
事業実施主体において医療機関を指定
指定医療機関一覧

●事業実施主体
都道府県、指定都市、中核市(厚生労働省は事業費用を補助)

改正によって、段階的に助成対象者が絞られました。平成28年4月以降は、43歳以上で不妊治療を始める方は完全自費になりました。不妊治療に1つの期限の目安が設定されたとも言えそうです。
 

東京都の特定不妊治療費助成

自治体によって特定不妊治療の内容が異なると前述しましたが、東京都の例で見てみましょう。
*平成30年4月1日以降の「1回の治療」から、事実婚の方も対象となりました。

助成内容としては、治療ステージで助成額が異なるのが東京都の特徴といえそうです。また初回の助成限度額が30万円に拡大されました。

<東京都特定不妊治療費助成の概要>

●対象者
次のすべての要件を満たす方
・特定不妊治療(体外受精・顕微授精)以外の治療法では妊娠の見込みがないか、または極めて少ないと医師が診断
・指定医療機関で治療を受けた
・申請日の前年(1~5月の申請日は前々年)の夫婦の合算所得額が730万円未満
※平成31年4月1日以降に開始した「1回の治療」については、所得制限額を905万円未満に緩和
「東京都特定不妊治療費助成の概要」

<婚姻している夫婦>
・申請日現在、東京都内(八王子市の区域を除く)に住所があること。夫婦のいずれかが都外(国外除く)在住の場合は、所得の多い方の住所地が申請先となります。
・治療開始時に婚姻していない、または下記の事実婚の要件を満たしていない場合は、申請日現在婚姻していても助成対象になりません。

<事実婚の夫婦>
・「1回の治療」の初日から申請日まで、夫婦が継続して東京都(八王子市の区域を除く)に住民登録をしていること。
・住民票の続柄に夫(未届)、妻(未届)等の記載があり、他に法律上の配偶者がいないこと。
・平成30年4月1日以降に開始した「1回の治療」から対象。

●助成額
助成の対象となる治療は、体外受精及び顕微授精のみとなります。
治療1回につき、以下の助成額上限まで助成します。
(初めて助成を受ける場合、上限額はカッコ内の額)

・治療ステージA(新鮮胚移植を実施):20万円(30万円)
・治療ステージB(当初からの方針に基づく凍結胚移植を実施):25万円(30万円)
・治療ステージC(以前凍結した胚を解凍し胚移植実施)・F(採卵できず中止など):7.5万円
・治療ステージD(移植のめどが立たず治療終了)・E(受精できず):15万円(30万円)

●助成回数
・平成28年4月1日から(過去に助成を受けた方を含め全ての方に適用)
妻が39歳までに1回目の助成を受けた(※): 6回まで
妻が40歳から42歳までに1回目の助成を受けた(※):3回まで
※治療開始日時点の年齢

●申請期限
助成対象となる治療が終了した日の属する年度末までに申請。1~3月に治療が終了した分で3月31日までに申請書等が提出できない場合は、6月30日まで申請可。ただし、この場合は翌年度分の助成対象となる
 

不妊治療中は医療保険に入れません

余談ではありますが、不妊治療中には通常、医療保険には入れません。治療が成功すれば出産ということにもなりますので、医療保険の加入を検討されるのであれば、治療開始前にしっかり入っておきましょう。
 

ゆったり気分で!

私の周囲にも、ご相談でいらっしゃる方の中にも、不妊治療をされているご夫婦が少なからずいます。不妊治療中はストレスも溜まりやすく、思い通りに進まなかった時の失望も大きくなりがちです。リフレッシュしながら、ゆったり気分で治療をされることが大事だそうです。

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