初めての介護現場で戸惑いやすい内容が取り入れられている
認知症への理解加齢とともに発症率が高くなる認知症。なんとなく聞いたことはあるけれど、実際に対応した事はないという人が大半です。程度の差こそあれ80歳代で50%を超えると言われていますから、介護施設の平均年齢が85歳前後であることを考えると、必ず接する機会が出てくるということです。
認知症という病気を理解する上でベースとなるのが医学的側面の学習です。認知症者がとる行動や、移り変わる心理状態の根拠が何なのかを知ることが、認知症者を理解する上でのベースとなります。そしてさらに重要なのは、それらを踏まえ相手を理解した上で適応していくコミュニケーション力です。理屈では分かっていても、実際の対応方法で戸惑う事が多い認知症ですが、基礎を順序立てて学習しおくことで、現場に入った時の心構えが違ってきます。
また同じように大切なことは、認知症者の家族の気持ちや介護負担を理解することです。なぜ家族がいるにもかかわらず介護の専門家が必要とされるのか、介護職をこころざす意味をあらためて見つめる時間になるかと思います。
職種間連携を理解
働き始めて戸惑いを感じやすいのが、他職種との連携です。介護の現場とは医師、看護師、理学療法士などの医療職、介護支援専門員、相談員やサービス提供責任者など、多種多様な福祉職で構成されているもの。お互いが専門性を発揮すると同時に、他職種とのチームワークを意識することが成功の秘訣になってきます。そのためまずは各職種の役割を把握することで、一人の利用者に対し、何をどの職種に相談すれば良いのかを理解します。
終末期ケア(看取り)を理解
誰もが平等に迎える「死」という現象。普段の生活においては非日常的な場面ですが、80歳、90歳代の利用者を対象とする介護現場では、自然の流れとして立ち会う確立が高くなってきます。そのため、死を迎える上でのこころとからだのしくみを理解し、介護職としてどのように関わるべきかを学び、自分の心の準備もします。
自立支援への理解
介護保険の基本理念でもある自立支援とは、利用者に残された可能性をいかに引き出し活用していくかを支援していくことです。言い換えると、出来ない部分に目を向けるのではなく、出来る能力に注目する関わり方です。そこには利用者の能力やペースに合わせて、見守る・待つという行為が求められます。忙しい現場では、ベテラン職員でも過剰介護に陥ってしまいがち。初心で理解しておいてほしい部分です。
思考を育てる研修になっている
移動介助の演習
「こころとからだのしくみと生活支援技術」という項目は、全体時間(130時間)の約6割(75時間)を占めており、初任者研修の大きな特徴の一つです。こころとからだのしくみを理解した上で、利用者に合わせた自立支援や意思確認を行いつつ、状態に合わせたケアを適切に行うという一連の流れを学習します。
具体的にはベッドや車いすなどを活用し、実際の場面を想定した演習を行っていきます。時間内で学べる内容には制限がありますが、現場に出た際はぜひ勇気をもって研修で学んだことを実践してみてください。アドバイスする現場職員も「できること」「できないこと」を見極め指導しやすくなります。