2014年は住宅価格上昇要因のオンパレードになりそうだ。
不動産経済研究所の「首都圏マンション市場動向(2013年のまとめ」」によると、昨年1年間で5万6478戸の新築マンションが供給され、リーマンショック前(2007年:6万1021戸)の水準に近づきつつあります。市場は回復傾向を鮮明にしており、新築分譲マンション価格は年平均で前年比8.6%上昇しました。
首都圏(1都3県)全体の供給数のうち、東京23区内での供給数が約半数(46.1%)を占めたうえ、平均価格帯が1億円を超える「億ション」の供給数が1504戸と、前年比およそ2倍(2012年は778戸)に倍増したことが、全体の平均価格を引き上げる要因になっています(下表参照)。
地価も上昇傾向を示しています。全国主要都市の住宅地あるいは商業地150地区の地価動向を四半期ごとに定期調査している「地価LOOKレポート」(国土交通省)によると、2013年の第4四半期(2013年10月1日~14年1月1日)は150地区中122地区で上昇が確認されました。上昇地区が8割(81.3%)を超えるのは、調査を開始し始めた2007年第4四半期(82.0%)以来の出来事です。
特に3大都市圏を中心とした商業系地区において上昇に転じた地区が多く見られたほか、住宅系地区についても引き続き上昇が継続しました。「金融緩和などを背景とした不動産投資意欲の高まりが、上昇地区8割超の要因」と国交省は説明しています。
このように、地価や分譲マンション価格はデータから上昇基調が鮮明です。消費者物価指数(生鮮食料品を除く総合/総務省)の年平均が、マイナス0.1%(前年比)だった2012年から、2013年はプラス0.4%(同)にプラス転換しています。デフレ脱却が射程圏内に入っているのがうかがえます。
これからマイホームを手に入れようという人にとって、価格上昇は決して喜ばしいことではないはずです。しかし、追い討ちをかけるように建築資材や職人の工賃も上昇し始めています。
資材価格に加え、職人の工賃も上昇 2014年は価格上昇要因のオンパレード
下記グラフは、2009年から14年1月までの東京都区部の建築資材物価指数(建築物価調査会)の推移です。2013年から上昇カーブが、より急勾配になっているのが分かります。円安による輸入材価格の上昇に加え、前述のようにマンションを初めとする住宅建設の増加や、震災復興を含めた公共工事の受注増大による建築需給のひっ迫が資材価格を引き上げています。
過酷な労働環境や低賃金により若者の育成が困難になり、建設就業者の絶対数は減少を止められません。そこで、事態を重く見た国交省では職人不足を解消しようと、公共工事の建設費用算出に使用する技能労働者などの労務単価を今年2月から全国ベースで7.1%(前年比)引き上げました。特に不足感が顕著な被災3県では8.4%(同)の引き上げです。
これにより、建設就業者の賃金底上げが期待され、資材価格の上昇と合わせて建設費の上昇は避けられそうにありません。4月からは消費税率も引き上げられ、まさに2014年は価格上昇要因のオンパレードです。マイホーム検討者は相場観を養い、価格の適正を見極められるようにならなければいけません。