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ダンサーズ・ヒストリー 新国立劇場バレエ団 小野絢子(6ページ目)

新国立劇場バレエ団のプリンシパルとして活躍する小野絢子さん。2007年の入団以来めきめきと頭角をあらわし、今や同団きってのスター・ダンサーとしてバレエ・ファンから多くの支持を集めています。彼女が歩んできたバレリーナへの道程とは? ここでは、小野さんのダンサーズ・ヒストリーをご紹介します!

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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これは夢なのかも……。

「新国立劇場の舞台は小学校の頃からずっと観てきました。湯川麻美子さんに憧れていたので、まさか同じ舞台に立ったり、同じ役をやることができるなんて……。山本隆之さんも色気があってカッコ良くて、なんて芸術的なんだろうって思ってました。普通にただのファンです(笑)」

今や憧れの先輩たちと肩を並べ、バレエ団の顔として主役を張る日々が続く。自身の歩幅に合わせ、堅実にステップアップを果たしてきた小野さん。誠実な稽古で実力を重ね、未来を切り開き、自らの手で夢を叶えてきた。
「これは本当に夢なのかもしれないと思う時があって……。私はプロを目指したのも遅かったし、コンクールに出たのもジュニアぎりぎりの年齢だった。研修所に入ったのもぎりぎりの年齢で、身長もぎりぎりと、常に出遅れてる(笑)。でもソリストで入団させてもらい、その直後にオーディションで主役に選んでいただいた。タイミングや人に恵まれたし、いろんな意味でラッキーだったなって感じます」
ラッキーとは言うものの、人一倍努力した結果でもあるのでは……?
「でもみんな努力してますから。本当に凄いと思います」

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  2009年「コッペリア」 撮影:瀬戸秀美


奢ることない謙虚な姿勢は、プリンシパルとなった今も変わらず。またそれこそが、彼女の進化を支えてきた源なのかもしれない。
「みんな本当に上手なので、私も頑張らなければと思うし、技術から何からもっと地道に練習しなきゃいけない。足りないものは一杯あって。これまで先輩方のことを見て良い所を盗もうとしてきたけれど、やっぱり見えてない部分が絶対にあるはず。何が違うんだろうって見つけようとしたり、意識の問題も大切。そうやって、いつも上を目指していければと……」

謙虚な姿勢と同時に感じるのが、圧倒的な芯の強さ。最近気づいたことは? との問いに、「自分が何もわかってないということがわかりました」と即答。尽きることない情熱が、凛とした美しさの確かな理由を伝えくる。
「舞台に立つといつも、“全員に届ける”って凄く難しいなって感じます。ただ、それに対して何が足りていないかというのが明確にはわからなくて……。1階のお客様から4階の隅のお客様まで、どうしたらちゃんと届けられるのか。例えば1階席の方に凄く良かったと言われても、4階席のお客様には何も伝わらない場合もある。かといって過剰な表現をしたら、逆に一階席のお客様はやりすぎだって感じるかもしれない。自然かつ全てが伝わるような演技を目指したい。全ての方に、“チケットを買って良かった”と感じてもらえる舞台にしたい。それが、今一番の願いですね」

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  2011年「パゴダの王子」撮影:瀬戸秀美



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