牧阿佐美バレヱ団で開催される年末恒例の舞台『くるみ割り人形』では、子役がクララを演じます。A.M.ステューデンツの生徒さんがクララ役に選ばれることも多く、毎年大きな注目を集めてきました。

牧>クララ役は毎年オーディションをして決めています。A.M.ステューデンツはもちろん、橘バレヱ学校や、よそのお教室からも受けに来ます。上手い子がいれば、どのお教室の生徒さんでも関係なく抜擢しています。

ただやはりA.M.ステューデンツの子はきちっと踊れてしまうので、最終的に選ばれることが多いですね。オーディションは毎年行いますが、過去に踊ったことがある子でも、それ以上いい子がいないと結局何回も同じ方が選ばれることもあります。

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(C) TOKIKO FURUTA


将来プリマになる子は、やはり小さな頃から突出しているものがありますか?

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(C) TOKIKO FURUTA

牧>
プリマになれる子はやはり限られてますよね。例えば新国立劇場バレエ団プリンシパルの本島美和さんもA.M.ステューデンツの生徒さんですが、彼女はもともと私の生徒だった豊川美恵子さんのお教室で学んでいて、そこから入ってきました。本島さんにしてもお教室では上手だからとA.M.ステューデンツにやって来た訳ですが、彼女たちが最初から光っていたというよりは、やはり環境だと思います。上手い子がいると、その年は他の子もすごく伸びるんです。

A.M.ステューデンツ出身の方や日本ジュニアバレヱ出身の方たちが今では
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もうご自分のお稽古場を持っていて、生徒さんを入れてきます。自分たちが経験してきた訓練法で教えてはいるんですが、同じことをやっていても、いろいろな稽古場から上手い子たちが集まった中で習うのとではやはり違うんですよね。

なかには身体的な条件や筋肉の質など、条件が良いからバレエに向いているなという子は確かにいます。ただ性格的に少し後ろ向きだったりすると、上手くなるにはやはりちょっと時間がかかる。ところが、バレエが好きでキラキラしている子は、わりと早めに上手
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になっていきます。世界的に見ても、バレエをやっているお嬢さんは竹を割ったタイプの子が多いですね。過去の例を振り返っても、上手くなった子たちはさっぱりした性格の子が多いように感じます。スポーツ的なところがあるのでしょうか、前向きな子が多いと思います。

バレエをやっているお嬢さんは全体的にさっぱりしていて、いい子が多い。遊ぶことが好きでもバレエの方がもっと好きだから、一生懸命稽古に通ってくる。だからあまり世間で聞くようなトラブルを起こす子はまずないですね。

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あと世界中の先生方が共通して言うのが、バレエをやってる子は普通の子より大人っぽいということ。それはませているという意味ではなくて、物事を理解できるということです。いろいろ覚えることが多いので、理解力がないとできないんですね。ボリショイ・バレエ学校でも“普通の子よりもウチの生徒の方が大人っぽい”とか、ワガノワ・バレエ学校でも“ウチの生徒は普通の子と違う”とか、先生方がよく自慢しています(笑)。

だいたいあれだけのステップの順番をその場ですぐに覚えるには、やはり独立心がないとできません。覚え方などは誰も教えられないし、自分で身に付けていかなければならないので。バレエの基礎を学んでいく内に、自然と理解力が付いていくということはあるでしょう。A.M.ステューデンツでもバレエ団ほど難しいことはやりませんが、訓練の過程で覚える力を付けていきます。なのである年令が来ると、自分のことも、ひとのこともわかるようになる。上手なひとと自分の差がわからないと勉強にならない。妬みだけではいけないし、いいものを率直に認めて、そうなるためには自分はどうすればいいか考えていくこと。上手い子は、だいたいそちらの方に意識が向かっていきますね。

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