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ダンサーズ・ヒストリー 新国立劇場バレエ団 小野絢子(4ページ目)

新国立劇場バレエ団のプリンシパルとして活躍する小野絢子さん。2007年の入団以来めきめきと頭角をあらわし、今や同団きってのスター・ダンサーとしてバレエ・ファンから多くの支持を集めています。彼女が歩んできたバレリーナへの道程とは? ここでは、小野さんのダンサーズ・ヒストリーをご紹介します!

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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入団直後、大役に異例の大抜擢!

2007年の9月に新国立劇場バレエ団へ入団。その直後、オーディションで『アラジン』の主役・プリンセス役に選ばれている。後に芸術監督となるデヴィッド・ビントレーによる新制作バレエであり、バレエ団の命運をかけた大作である。入団直後の新人の起用はバレエ団にとってもまさに大きな賭けであり、異例の大抜擢と言えよう。
「すっごいラッキーですよね! 私、ラッキーの塊なんです(笑)」

とはいえ喜んでばかりもいられない。プリンセス役は、本島美和と湯川麻美子の3名によるトリプルキャスト。小野さん以外はすでに数々の作品で主役を務めてきたトップダンサーであり、キャリア・知名度ともに格段の差があるのは否めない。
「萎縮してる暇があったら必死に付いていこうと思いました。力が足りないのはわかっていたので、少しでもお二人から盗まなければと。良い所をどんどん吸収して技術を上げて、その上で自分なりのものが出ればと」

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2008年「アラジン」小野絢子、八幡顕光 (撮影:瀬戸秀美)


オーディションから一年後の2008年11月、『アラジン』は遂に幕開けを迎える。小野さんのパートナーは一期上の八幡顕光で、やはり大抜擢でのアラジン役だ。バレエ界の注目を一心に集める中、ビントレーが生み出した物語世界は鮮やかに舞台を染め、かつてないスケールをもって同団に新たな風を注ぎ込んだ。『アラジン』は成功裏に幕を閉じ、同時に小野絢子という新たなスターを生み出した。

見事に大役を務めた小野さん。踊りきった感慨は? と聞くと、「うーん、覚えてないんです……」とぽつり。
「あまりにも必死だったというのもあるし、ホッとしたのもあると思う。主役といってもみんなが盛り上げてくれてできた舞台だったので、本当に感謝の気持ちで一杯。いろんな人に助けられ、アドバイスをいただきながら乗り切った感じでしたね」

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2008年「アラジン」小野絢子、八幡顕光 (撮影:瀬戸秀美)


その後も八幡とペアを組んだ『コッペリア』をはじめ、主要な役所を演じ着実にキャリアを重ねてゆく。さらに2010年のデヴィッド・ビントレー芸術監督着任後は、主役を務める機会もぐっと増えた。チャイコフスキー三大バレエをはじめとした古典作品から、『アラジン』の再演に『カルミナ・ブラーナ』、『パゴダの王子』といった創作バレエまで。

なかでもファンを驚かせたのが、『カルミナ・ブラーナ』で演じたフォルトゥナ役だ。小野さんといえば、初々しく楚々とした雰囲気で、愛らしいプリンセス役がよく似合う。フォルトゥナ役とは正反対の印象だ。
「私自身あの役に指名されるとはこれっぽっちも思っていなかったので、“え、何で?”という感じでした。でもあれほど出来ないと思うことが楽しい、挑戦することが楽しいと感じた作品はなかった。『カルミナ・ブラーナ』をやらせていただいた経験は大きいし、本当に良かったなと思っています」

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  2010年「カルミナ・ブラーナ」撮影:瀬戸秀美



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