キャリアプラン

キャリアインタビュー~歴史小説家・伊東潤氏~(2ページ目)

歴史小説家として大成功され、直木賞候補にも名を連ねている伊東潤氏。実はガイドの日本IBM時代の同僚でもある伊藤氏に、キャリアについてお話を伺いました。キーワードは『人生の勝負どころを見極める』です。

藤田 聰

執筆者:藤田 聰

キャリアプラン・リーダーシップガイド

キャリアチェンジできたのは、リーマンショックという外部要因があったものの、自らの人生の流れを俯瞰的に捉え、どちらに「つきが回っているか」を見据え、決断したら一気に突き進んだことですね。そうした勝負所を見極める目というのは大切だと思います。

勝負どころを見極め、勇気ある一歩を踏み出せるかどうかが問われます。

勝負どころを見極め、勇気ある一歩を踏み出せるかどうかが問われます。

もっともIT業界で培ったマーケティング発想で考えたところ、司馬遼太郎さんがお亡くなりになられて以降、有力な歴史作家は少なくなっていたので、歴史小説の分野でやっていけると踏んだこともあります。自分の人生の流れだけでなく、そうした外部要因を見極めることも、すごく重要だと思いましたね。

ガイド:自己完結型の仕事、上司がいるわけでもなく、自分自身に打ち克つのは難しいですね。モチベーションの源泉は何でしょう?

伊東氏:何事も自分のエネルギーとして取り込むことに尽きます。「家族のために頑張る」ということよりも、怒り、憎悪、嫉妬といった負の力を、自分の燃料にすることですね。

ガイド:確かに、僕は伊東さんの若い頃しか知りませんが、良い意味でイレギュラーな日本人ですよね。尖り感があり、ストレートに表現するという。更に周りからの評価を気にしないという鈍感力、素晴らしい!(笑)

伊東氏:私だってサラリーマンの世界に身を置いていた頃は、自分を殺すこともありました。今思うと、もったいない時間でした。自分の個性や能力を最大限に生かすことを考えれば、もっと早く今の道に入ればよかったと思います。読者の方で悶々とされている方かがおられるなら、自分を信じて最初の一歩を踏み出したらいかがでしょう。

本日の教訓(ラーニングポイント)

●何かのきっかけで自分自身を見つめなおす(→自己完結の仕事、業務コンサルタントの道へ)

●流れを掴む(→リーマンショックで仕事を失う、これまでの道か新しい道かという選択、兼業時に冷静に流れを読む、そして、決断する)

●仕事へのモチベーションは、怒り等の負のエネルギーをプラスのエネルギーに転換する

●市場性や競合を緻密に分析し、マーケット視点での意思決定を冷静に行う        
歴史小説家というと、圧倒的な情報量の蓄積と次元の違う才が必要かと思いましたが、「マーケティングや戦略的な発想ができれば成り立つ」と言い切られました。ご本人曰く、「自分の適性は小説家よりもコンサルタントにあった」とのこと。

小説は芸術の世界、つまり、一回性の知であり、ITコンサルタントは科学の世界、つまり、再現性の知。歴史小説は様々の文献の調査研究を経て、書き下ろしていくとのことで比較にならないくらいの工数を要するとのこと。一回一回に投入するエネルギー量が圧倒的に違うのだろうと思いました。これからのご活躍を益々期待しています。  
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